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n-side


いつの間にか瞳は渇ききり
私のしゃくり上げる声は
聞こえなくなって


「ごめんね。のっち」


この部屋に響くのは
ゆかちゃんの声だけになっていた


薬指で光るそれが
ゆかちゃんが言う「ごめん」が
どんな意味か分からない程
バカじゃない。
私を抱き締めるこの温もりも
もう私のものじゃないんよね?



問いかけるように
視線をゆかちゃんに向けると…

そこには

唇を何かを我慢するように噛み締めて
苦しそうに眉間にシワをよせて
大きな隈を作ったその上から涙を溢れさせて

今にも壊れてしまいそうな
ゆかちゃんがいた。






なんでよ?
なんでゆかちゃんが泣いてるんよ?
なんで、そんなにやつれてるんよ?

恋人に1ヶ月もシカトされて
薬指に違う指輪はめられて
のっちの方が泣きたいんだよ?


そんな苦しそうな顔しないでよ…
やっぱり、どんな酷い事されたって
好きな人には笑顔でいて欲しいんよ
常に幸せでいて欲しいんよ





私はゆかちゃんの頬を伝う涙を
彼女が私にしてくれたようにすくいとる




「さっきとは、逆転だね」


そう言ってゆかちゃんは泣きながら笑った



その姿本当に愛しくて…
何かが外れる
諦めかけてた気持ちが溢れでる



「やっぱり好きだよ…」



ゆかちゃんの身体を抱き寄せていた


kーside

「やっぱり、好きだよ…」

そう言われて抱き締められ我に帰った。
あの人の言葉が頭の中を駆け巡る

だめだ。ゆかはもう、この温もりに触れる事は許されていないんだ

はやく離れないと…
自分が辛くなるだけなんよ…

バッ

のっちの胸を押すと同時に抱き締められていた腕から抜け出す

のっちは大きな瞳の奥を揺らしてこっちから目を離さない。
見ないでよ。愛しく思う気持ちが溢れ出そうになるから…

のっちの視線から逃れるためにクルッと回って彼女に背を向ける

そして、何度も練習した言葉を吐く


「ゆか達さ、友達に戻ろう?」


「なんで?」

後ろから聞こえてくる声は想像と違って穏やかで驚く

「他に好きな人ができたの」
「その指輪の人?」

相変わらず怒るわけでも
悲しむわけでもなく…本当に穏やかな声

「そう。」

「そっかぁ…その人はゆかちゃんを幸せにしてくれるの?」

「う…ん」
予想外の質問に声が震える

「そっか…のっちはゆかちゃんが幸せならそれでいいから。いいよ、友達に戻ろっか…」

涙が止まらなかった。
声に包み込まれてる気がした。
ゆかは…ゆかは…のっちの隣が一番幸せなんだよって
世界で一番好きなのはのっちなんだよって
言ってしまいたかった。


「ただ…シカトとかはなしだよ?」
のっちが笑いながら言う

「…うん」

「なら、よしっ!」

私が返事をすると今度は元気一杯の声。

コロコロ変わる声で顔を見てなくても表情が手にとるように分かる


私が黙っていると


「あ!喉乾かない?のっち飲み物かってくる」

バタン
そう言って慌ただしく出ていってしまった


「ばか…優しすぎるんよ…」

だって飲み物はたくさん用意してある


1人にしてくれたんよね…
本当に優しい人。

私の心の叫びがあなたに…
のっちに届けばいいのに…
助けてよ。のっち…






最終更新:2009年02月12日 16:36