SIDE-K
間違っていることはわかっている。
でも空いた心を埋めるには、こんな方法しか思いうかばなくて。
卑怯な自分。
「んっ…ん、あ…っ」
堪えようとも洩れる声。
生理的に溢れる涙で滲む視界。
暗闇にうっすら見える彼女の姿。
その髪がもっと長くて、もっと柔らかければ、なんて思っても無駄なこと。
彼女は違う。
何もかも違う。
髪型も、身体も、声も。
挙げたらキリがない。
当たり前だ。
彼女は彼女じゃない。
私が欲してる彼女では。
「やぁっ…んっ」
全然違うから、彼女を利用して自分を慰めることに罪悪感なんてない。
いや…少し前まではあったかな。
ある日いつものように二人で身体を重ねた後、疲れた私はそのまま眠りについたのだが、
しばらくしてふと目が覚めた。
「んっ…ぁ」
洩れる声と動きで彼女が何をしているか察しはついた。
まだ身体が熱いのだろうか。
確かに今日は私ばかりだったと少し悪く思い、その身体に触れようとした時だった。
「…っ、あ…ちゃんっ」
私は耳を疑った。
今、確実に彼女はあの名前を口にした。
もしかして彼女は私と同じなのかもしれない。
そんな考えが浮かんだ。
私はその時から罪悪感なんて感じなくなった。
きっと彼女も、私が彼女に彼女を重ねているように、私に彼女を重ねているんだ。
だったら同罪じゃないか。
しかも共犯者だし。
「…あ、あ、んっ…」
そろそろ限界が近い。
身体はこんなにも熱いのに頭はやけに冷静だ。
悪戯したい衝動に駆られる。
責められているのか責めているのかわからなくなる感覚。
ここで私があの名前を出したらどうなるんだろう。
考えただけでぞくぞくする。
でも私はそんな馬鹿な真似はしない。
あくまでも想像の中だけ。
せっかく手に入れた玩具を簡単に手放しはしない。
彼女の指は確実に私を導いて。
さっきまでの冷静な自分をさっさと捨てて。
「んっ…あ、あ…」
一気に上り詰める。
「や…っ、あ…ちゃ…んっ」
…え?
今、私何て言った?
思わず自分の口を塞ぐ。
目の前にいる彼女は大きく目を開いて私を見つめていた。
最終更新:2009年02月12日 17:07