N-side
ゆかちゃんが話しかけてくれたあの日から私たちは、毎朝話すようになった。
メルアドを交換したり、お互いの学校の話をしたり...いろんな所へ遊びに行ったりもした。
—ガタン、ゴトン
「のっち、おはようっ」
「おはようっ。」
君に名前を呼ばれるだけでも幸せだった。
どうしようもなく好きなんだね。君のこと。
一緒に話せるだけでもよかった。
でも…苦しいんだ。
仲良くなるにつれ、私の心はとても苦しくなるんだ。どうして?私は彼女とこうなることを望んでたんじゃないの?
…わかってる。…わかってるのに。
私は彼女と付き合いたい。そう思い始めたんだ。
でも、それはとても叶うことではなくて。
…だって彼女は私を“友達”としか思っていない。
だから苦しいんだね。
叶わないから...
いつか私のこの想いが爆発して、君を巻き込んでしまうかもしれない。
それがすごく怖かった。
…もう、限界かも
—彼女から、ゆかちゃんから、離れよう。
会わないほうが彼女のためにも、私のためにもいいのかもしれない。
—ガタン、ゴトン
「ゆかちゃん。」
「ん?」
「今週の休みさぁ…空いとる?」
「うんっ。空いとるよ」
最後に…
最後にさっ、デート…
させて。ゆかちゃん…
○●○●○●○●○●○●
休日。
私たちは映画を観に行くことになった。
いつもの駅で待ち合わせ。…そういえば、初めてゆかちゃんとここで待ち合わせしたとき、楽しみすぎて1時間前に来たっけ。
あの時すごい緊張したな。でも、ゆかちゃんといると何もかもが楽しくて。またどんどん彼女に惹かれていったんだ。
「のっちー!」
愛しい人の声が聞こえる。走ってくる彼女。
「待った?」
「ううん、全然」
「そう。よかった。いつも遊ぶときのっち、ゆかより先に来とるよね。なんか悔しいわw」
それは、ゆかちゃんだけなんだよ。いつもはいろんな人待たせてるけぇ。
「じゃあ、行こっか。」
彼女が歩きだす。
私は彼女についていく。
今日も可愛いなゆかちゃん。初めて制服以外の服を着たゆかちゃんを見たときは可愛いすぎてもう、とにかくヤバかった。まぁいつみても可愛いけど。
でも“可愛い”って面と向かって言ったことないな。最後だから、勇気だそうかな…
「…ゆかちゃん、今日もかわいいね」
「!?」
彼女は勢いよく振り返った。
「どしたんっ?急に」
私は彼女にニコッと笑いかけまた歩きだす。
あぁ八の字眉になってませんように…。
映画を観終ったあとも、いろんなお店をまわったり、プリクラを撮ったり、ごはんを食べたり...暗くなるまでおもいっきり遊んだ。
「あっ、もうこんな時間。のっちもう帰る?」
「うん…。そうだね」
楽しい時間は早く過ぎていくもんで…
やっぱ、最後って
辛いや…。
でも、これ以上仲良くなったら苦しすぎてたえられんくなる。
だから、私はゆかちゃんから離れよう、距離を置こうって決めたんだ。
駅までの帰り道、近道しようって言って、人気のない所に彼女を連れだした。
私は彼女の両肩に手をおき向き合う形になった。
「?どしたん、のっち?」
きょとんとしてるゆかちゃん。
初めてこんなまじまじと顔見たかも…
ほんとうに可愛い。
ほんとうに愛しい。
ほんとうに…
「ゆかちゃん…」
「んっ?」
「言いたいことがあるんだ。」
「うん、何?」
「私はゆかちゃんのことが…」
—えっ? 待って、ち、違うっ…!
「ゆ、ゆかちゃんのこと…」
—だから違うっ…!
こんなことっ
「私は…ゆかちゃんのこと…」
—止まれっ…!止まれ…!止まれ…っ!
止まって……
『好きです。』
「えっ?」
何かが崩れた気がした。
○つづく○
最終更新:2009年02月12日 17:17