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『仕事、行かないと。』

「…行かん。」

私は、ソファの上の彼女にまたがった。
この腕を解けば、彼女はどこかへ行ってしまう。
一緒の時間を過ごした後必ず襲ってくる、
私のもとへは、もう二度と帰ってこないかのような不安。


「ゆかのこと、好き?」

『好きだよ。』

何度確かめても、足りない。
もっともっと、ちょうだい。

『のっちの中、ゆかちゃんでいっぱいなん、知ってるくせに。』

もっともっと、私を溺れさせてよ。

『…のっち今日、指輪左手にしとくね。』

彼女はぎゅっと私を抱きしめた。
離さない…離したくない。

もっと、もっと。
もっと、ちょうだい。

私は大げさに彼女の首筋に顔をすり寄せる。
少し顔離し、鼻を近づけると、彼女の首からは私の香水が香った。

「ふふっ…。」

私は腕を組んで、玄関を出た。
これは、ゆか、の。
のっちは、ゆか、の。

「クスッ…。」

絶対に、離してやんないの…。


  • かしゆかの場合 END-





最終更新:2009年02月23日 03:43