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今日は友人の結婚式だった。
その二次会に参加したのはいいけど少し後悔気味。
友達には申し訳ないけど正直、来るんじゃなかった……。

『仕事何されてるんですか?』とか
『彼氏とかいないの?』だとか…。

ここは合コンかっ!ての。
ビンゴも全然リーチさえかからないしさぁ…。

『のっち、楽しんでる?』
友達である今日の主役の新婦が話しかけて来る。
多分つまらないって顔してたんだろうね…。
N『うーんまぁまぁ…?』
愛想笑いしてみてもきっとバレてるよね。
昔からこの子には隠し事は出来ない。
『だよねぇ。ごめんねっ、もうちょっとだからっ。』
申し訳なさそうに両手を合わされ逆に私の方が申し訳ない気になった。

『グラス開いてるよ?何か飲む?』
N『あ…、いやもう止めときます。』
さっきからやたらモーションかけてくる隣の人から離れたかった。
『大丈夫?酔っちゃった?』

あーっ!もうムリ!!
N『ちょっとごめんなさい。』
立ち上がった私に一緒に立ち上がられうんざりする。

『一人で大丈夫?着いて行こうか。』
N『いえっ!一人で大丈夫ですんでっ。』

思いっきり強い口調で断ったらさすがに、
『あぁ……、そう。』
って大人しくなってくれた。

店を出て表に出ると粉雪が少し舞っていた。

寒いはずだぁ…。

私は空を見上げ雪を手の平へと導いてみた。

冷たいはずのそこに落ちた雪はあっという間に溶けて消える。

掴めそうで掴めない、それはあの日消えた君を思い出させた。


あれからしばらくは辛かったけど、今は幸せな気持ちとともに君を思い出す。

元気でやってんのかな、幸せになれてるのかな、私を思い出す時があればいいな…。

いろんな想いのたどり着く先は不思議と幸せな感情があった。


大学を卒業するまでの間にキャンパス内で数回すれ違った事あったよね。
学部が違ったせいでそこまで接点もなかったのは良い事なのかどうなのか…。

卒業してからは私も仕事に追われあまり思い出さなくなった。
もともと社交的ではない私は、卒業してからは本当に親しい人としか連絡を取らないでいた。
だから君の話も耳には届かなかった。


しかし、よく冷えるなぁ……。

3月も半ばだと言うのに雪がちらつくなんてめずらしい。

冷え切った体のまま心は君を思い出して暖かくなる。
ゆかちゃん、君もこの街のどこかでこの雪を見てるのかな?

そう思うと、寒空の下舞い散る雪が愛おしくなった。
それをまた手の平でそっと受け止めるとさっきよりは長く留まった。




『何してんの、風邪ひくよ?』
声のする方を見るとそこにいたのはゆかちゃんだった。

N『!!』
驚いて体は固まり予期せぬ出来事に頭も停止する。

K『……今日寒いね。』
そう言って君も手で雪を受け止める。

N『うん…。』
鈍り色の空を見上げ降ってくる雪と遊ぶ君の姿は大人になっていた。

K『……元気だった?』
N『うん…、ゆかちゃんは?』
K『……元気だったよ。』
ニコリと空を見上げたまま笑う横顔はあの頃のままだった。


N『今日どうしたの?』

K『??』
私の言葉の意味が分からずキョトンとしている。

K『……あぁ、そうね。そう言う事か。』
N『??』
今度は私がキョトンとしていると、
K『なんでもないよ。寒いから中入ろ?』
と悪戯っ子な笑顔で私の腕に腕を絡め迷いなく二次会の店へと歩みを進める。

ん??

迷いのないその選択に違和感を覚え、疑問が口をついて出そうになった。
けれどゆかちゃんの言葉がそれを遮る
K『うわっ、冷たっ。のっちどれだけ外にいたのよ?凄い冷えてんじゃん。』
彼女は店のドアを手に取り私へと心配の視線をくれる。

N『ちょっといろいろあってねぇ。』
K『……じゃあこのままどっか飲み行く?』
N『いや、それはちょっ『ちょっと待ってて。』』
私の言葉を打ち消し絡めた腕を解き店の中へと入って行く君。

君に触れられたところだけが無性に熱を持っていた……。

しばらくしてドアが開いたと思うとゆかちゃんの後ろから新婦である友人も顔を出した。
『のっち!』
今度はその友人が私の腕を取りゆかちゃんと私の距離を開けた。

N『うわっ何、何っ?!』
強引に引きずられ身を潜めヒソヒソ話し始めた彼女の口からは信じられない言葉が。
『…上手くやんなよ。』
ニヤリと笑って絡めた腕を解きドンと背中を押された。

なんだ?!上手くやれって……っ。

押し出された先にいるゆかちゃんを見るとはにかんで私の後ろを見ていた。

……っ!?

バッと後ろを振り返ると友人は私の後ろを見て微笑んでいた。

えっ!?何この二人の空気……。
まさか……っ。

K『行こ、のっち。』

悪戯っ子の微笑みで前を見て歩き出すゆかちゃん。

K『…驚いた?』
N『どれに驚けばいいのか分かんないくらい……。』
K『……だよねぇ。』

あぁ…。クスクス笑う君は変わらず輝いて見えるね。


K『話したい事いっぱいあるんだぁ。』
N『私も聞きたい事だらけだよ…。』
K『……へへっ。』


繋いだ手から伝わる体温が新しい季節の訪れを告げていた。

(完)




最終更新:2009年02月23日 03:56