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それはまさに一瞬。


それまでの経験を全て
一気に覆されてしまった。


ココロが反応する。

そっか、こういうことか。
今までのは、ただの戯れだったんだ。


恋してた気になってただけ。
人を好きになってると、
そんな気になっていただけだったんだ。


だって、ほら。

ね?


理屈なんかじゃなく
理由だってない


いや、そんなの必要ない。


ただ、わかっただけ。


この人なんだ、と。


高校に入学して3度目の春。



風の強い日で
桜の花びらがヒラヒラと舞っていた。


あまりにキレイだったから
ヒラヒラと舞い踊るそれに
誘われるように
部活を抜け出した。


たどり着いたそこには
見かけない姿。


すらっと伸びた腕。
キレイな指先でフレームを作って
桜の木を見上げていた。


桜色舞う空間。
手足は、白く長い。
さらさらと、黒く長い髪が風に揺れていた。


あまりに幻想的なその光景は
確実に、ココロの中に
なにか、を
刻み込んだ。


振り返った彼女と視線が交わる。


「こんにちは」
ふわっとした笑顔は、とてもやわらかかった。
でも、なぜだかその瞳は、少し赤かった。
「…こん、にちは」
「立派な桜の木だよね」
「あ、はい。うちの学校の自慢の一つでもあるから」
「うん…」

そういうと、彼女はまた視線を桜に戻す。


自分のいるところからじゃ
表情は見れなかった。
けど・・・


「あ、職員室ってどこなのかな?」
「え、えっと、あの一番手前にみえてる校舎の2階です」
「そっか、ありがとう」
「いえ…」


「じゃ、またね」


そう言って、あたしの横を
すり抜けて、彼女は立ち去った。


しばらく立ち尽くしていた。
夢か現かわかんなかった。
徐々に、頭がはっきりしていった。
心臓がドキドキしていた。


そっか、そういうこと、か・・・

これは、間違いなく現実、だ。



…ん?

「またね」って言った?


そのナゾは、数日後の始業式で解けた。

新任の教師を紹介する舞台の上に
彼女の姿があった。


—・・・先生、だったんだ…


でも、そんなことより先に
あたしの中にあった事実。


彼女に堕ちてしまった、ということ。


先生?

もうあの時から、逆らえない運命だったんだよ。。。





最終更新:2009年02月23日 04:07