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一時間目の授業中、前方からおなかの鳴る音が聞こえた。

キュルルルルル………

のっちが振り向いてニヤリとする。
その顔がおかしくて、私は吹き出した。
「樫野、どうかしたか?」
先生にさされる。
「いえ…、何でもありません…。すみませんでした」
あーちゃんがこっちを見てニヤニヤしている。
あー、恥ずかしい。
授業後、のっちはカバンからパンを取り出して、ほおばりはじめた。
私はまだ恥ずかしくて、机の表面でほっぺたを冷やす。
「もー、のっちのバカ。全部のっちのせいじゃけぇ」
「人の顔見て吹き出すなんて、失礼しちゃうよね」
私は起き上がってのっちをにらみつける。
口いっぱいにパンを入れて、もぐもぐしてる。
「大体、一時間目からおなか鳴らすなんて。それは何?お昼?」
「んん、朝」
のっちは口の中のものをしっかり飲み込んでから、言い訳をした。
「昨日課題仕上げよったら、寝るの遅うなって、
寝坊して遅刻しそうじゃったけぇ、朝食べれんかったんよ」
「ほんまにあわただしい子じゃ。少しは女の子らしくしんさい」
次の授業の用意をしながら、私がそう言うと、
のっちの動きが止まった。

「女の子らしく…?」
また口いっぱいにパン入れてる。
なのになぜか遠い目をして…。
「女の子らしいって、何………?」
その目は、はっとするほど美しくて、私は戸惑った。
あーちゃんがやって来て、のっちのほっぺを両手ではさむ。
「あんたは、さっそくゆかちゃんに迷惑かけて」
のっちはさっきと同じ言い訳を繰り返す。
その間私は、さっきのっちが言ったことを考えた。
「女の子らしいって、何………?」






最終更新:2008年10月10日 14:41