SIDE-N
彼女の宣戦布告とも言える発言から一週間。
その間彼女と身体を重ねることは無かった。
当たり前と言えば当たり前だけど。
以前なら一週間も間をあけることなんて無かったから。
朝、目覚めの良さに驚く時もある。
そしてもう一つ驚いていること。
「あ〜ちゃん、かーわいい…」
「ちょっとどないしたんよ、ゆかちゃん」
彼女がやけに素直な言動をしていること。
今まで遠回しな表現しかしてこなかったのに。
これが彼女のやり方なんだろうか。
色々言われている彼女も困惑気味だ。
「えー!ほんとのことだからいいじゃん」
「何言っとるんよ」
「ふふっ、あ〜ちゃんのこと好きなんだもん」
聞いていてこっちまで恥ずかしくなってくる。
自分もこんな感じかと思って余計に恥ずかしい。
早く撮影の順番がまわってきて欲しいと願っているとスタッフさんが入ってきた。
「かしゆかさん、個人撮影です」
「あ、はーい。」
ん…?どうしてだろう。
スタッフさんと衣装を簡単にチェックする彼女を見る彼女の顔が険しい。
スタッフさんと彼女が出て行った後も、彼女の顔は依然として険しかった。
「あ〜ちゃん…?」
「…え、何?」
「いや、難しい顔しとるから。」
「そう?ちょっと考えごとしてたからかな」
彼女を見て考えごと。
もしかして。
「ゆかちゃんのこと?」
「うん…」
もしかして彼女は既に彼女の策に嵌まってしまったのだろうか。
急に不安な気持ちになる。
「最近変。」
彼女は頬杖をつきながら話す。
「表現はおかしいけど…ゆかちゃんがのっちみたいじゃ。」
「何かあ〜ちゃんにやましいことでもあるんかな。のっちも思わん?」
こういう時、何て答えるのがベストなのか。
私はこんなことを考えるのが苦手だ。
とりあえず合わしておこうかな。
「あー、確かに最近ゆかちゃん変わったよね。」
「じゃろー!」
「やましいこと、あるのかも。」
言った後、凄く後悔した。
彼女の顔が一層険しくなったから。
どうにかしてこの空気を変えようと考えていると、
撮影を終えた彼女が帰ってきた。
さっきからのタイミングの良さを神様に感謝する。
彼女の顔も和らいでいた。
「次、あ〜ちゃんの番だって」
「うん、わかった。」
彼女ならきっとベストな答えをすぐ見つけだすんだろうなと思いながら、
携帯を弄り始めた彼女の長い髪を見ていた。
つづく
最終更新:2009年02月23日 04:26