帰りのホームルームが終わり、あたしはコートを羽織りダッシュで駅まで走る。
そして自分の家とは反対方向の電車に飛び乗る。
今日は金曜日。あの人のお家にお泊り。
もちろん親にはあの人の家に泊まるなんて言えるはずなく、ゆかちゃんの家としてる。
ゆかちゃんにもアリバイ作りに協力してもらった。
あ〜、早く駅に着かないかな〜。あたしはあの人の家の合鍵を握り締め、まるでおやつを待ってる子供の様にソワソワした。
あの人が帰ってくるまで、スーパーへ寄って夕飯の食材買おう。
夕飯って言ってもあたしはまだそんなに料理が出来るわけなく、あの人の好物のカレーくらいしか作れない。
ちょっと失敗しても、おいしいよって全部食べてくれる優しいトコが好きなんだよね〜。
さっ、早く買い物してカレーの準備してあの人の帰りを待とうっと。
トントントン・・・。
ジュー・・・。
グツグツ・・・。
少し手こずったけどなんとかあの人が帰ってくるまでにカレー作るの間にあったぞ。
すると・・・
ブオォォン。
車が止まる音。
カンカンカン。
階段を上がる音。
ガチャガチャ。
ドアの鍵を差し込む音。
帰ってきた!!
「たらいま〜。おっ、いい匂い。カレーだ〜♪」
「おかえりなさーい」
あたしはセーラー服でお出迎えして抱きついた。
「カレー、あ〜ちゃんが作ってくれたん?」
「うん!だって先生好きじゃろ?カレーライス」
「うん、大好き。カレーも、あ〜ちゃんも」
「バ、バカ・・・。は、はよ食べよ」
「は〜い」
そう、あたしが待ってたのは先生。
実は半年前から付き合ってるの。もちろん周りには秘密。
先生は学校にいる時は、敬語で『西脇さん』って呼ぶけど、二人っきりになるとあ〜ちゃんって呼んでくれる。
自分のことは『のっち』って言うくせに、あたしが『のっち』って呼ぶとちょっと機嫌が悪くなる。
あたしには『先生』って呼んでほしいみたい。
そうやって、あたしにちょっと甘えてくれるのがチョー可愛いいの。
これは先生のファンクラブも知らないあたしだけの秘密。いいでしょ♪
こんな関係だからあまり外へ出歩けないけど、たまの金曜日にはこうやってお泊りさせてくれる。
合鍵も渡してくれる。しょっちゅう二人では会えないけど、愛されてるな〜って感じるからいいの。
「美味し!あ〜ちゃん、カレーの腕上がったね〜」
「ほんと?だって先生の為にがんばったんよ!」
「そっか〜なんか嬉しいな。あははw」
あたしたちは楽しくカレーを食べた。
そして食べ終わると先生が食器を洗ってくれて、あたしはお風呂の準備をする。
これはいつもあたしがお泊りする日の決まった流れ。
「先生〜、お風呂沸いたよ」
「はーい・・・一緒に入る?」
「!!!バ、バカ。は、はよ入ってよ」
「はいはいww」
もう、先生ったら、エッチなんだから。
あたしは先生がお風呂に入っている間、散らかってる部屋を簡単に掃除する。
これも決まった流れ。それが終わったらコーヒーを淹れてテレビを見ながら、先生がお風呂から出るのを待つ。
これって、なんかもう結婚生活みたいじゃない?きゃー、なんか照れちゃうwww。
ひとりで舞い上がってたら先生がお風呂からあがってきた。
「ふぅ〜、気持ちかった。あ〜ちゃん、どうぞ。てか、どうした?」
「ううん。何でもないよ。お風呂は、入ってくるね!」
キョトンとした顔の先生を尻目に、あたしは猛ダッシュでお風呂場へ向かった。
お風呂から上がってきたら先生は、あたしの淹れたコーヒーを飲みつつテレビを見てケロケロ笑ってた。
「あっ、コーヒー飲む?」
あたしに気づいて先生が声を掛けてきてくれた。
「あ〜ちゃん、冷たいものが飲みたい」
「んじゃ、レモンティーでいい?」
「うん」
先生は冷蔵庫を開けて紙パックの1リットルのレモンティーをグラスに注いでくれてテーブルに置いた。
こういう、さりげない優しさが好き。
あたしはソファーに座ってテーブルに置かれたレモンティーを手に取った。
「あっ、それ新しいパジャマじゃろ?」
隣に座ってる先生が問いかけてきた。
「うん。この前ゆかちゃんと買い物に出かけた時、かわいかったから買ったんよ」
些細な変化にすぐ気づいてくれる先生が好き。
「可愛いよ。すごく似合ってる。ピンク色のパジャマはあ〜ちゃんにピッタリじゃよ」
そう言って先生はあたしとの距離を縮める。
あたしが持ってたレモンティーの入ったグラスを置いて、リモコンでテレビの電源を消した。
そして軽く触れるだけのキスをしてくれて「・・・ベット、行こ?」と先生が呟く。
これもいつもの流れ。
あたしたちは先生のベットへ移った。
必然的に先生があたしを見下ろす状態になる。
カーテンの隙間からもれる月明かりが先生を照らす。ドキドキする。
目が合う。ハノ字眉でニコっと笑ってキスをくれた。
これからあたしはいつものように先生色に染まる。
先生はキスが好き。
何度も何度もあたしにキスをする。
あたしも先生にキスをされるのが好き。
キスされるたびに「好きだよ」って言われてる気分になるから。
今日もいっぱい「好き」が詰まったキスをしてくれてる。
今日のキスはさっき先生が飲んでたコーヒーの味。
普通のキスに飽きると今度は深いキスに変わる。
最初はビックリしたけど、今はだいぶ慣れたよ。
たまに息が出来なくて苦しくなるけどね。
「ぁ・・・ん」
今も息が出来なくて苦しくて、おもわず先生の肩を軽く叩いた。
「あっ、ごめんなさい。大丈夫でした?」
先生がキスを止めて気遣ってくれた。
「うん。平気、だよ?・・・続けて?」
「・・・はい」
先生はたまにベットの中で敬語になる。
なんでだろ?前から気になってたんだよね。
本人に直接訊いたことないから本当のところはわからないけど、どうやら無意識らしい。
そして今日もその無意識が出ちゃってたみたい。これって職業病?
深いキスを再開し先生は、新しいパジャマのボタンを器用に外していた。
ボタンを全部外されたパジャマはすぐ脱がされてしまった。あー、折角買ったのに・・・。
「綺麗ですね・・・」
そう言いながらあたしの左胸のラインを右手の中指でなぞる。
その行為がくすぐったくて、体が反応してしまう。
そしていつものように両手で優しくあたしの胸を愛撫する。
首筋では先生が見えない角度に、証を残している。
「んっ・・・」
声が我慢できなくなる。
「声、出しても大丈夫ですよ・・・」
先生が優しく言う。
先生の手が下に降りてくる。
パジャマのズボンと下着を脱がし、あたしは何も身に着けてない状態。
恥ずかしがるあたしを気遣って先生はシーツを被せてくれた。
ふたりでシーツに包まる。抱きしめてくれる先生の体温が伝わる。
先生はあたしを撫で体を熱くさせる。
「あ〜ちゃん、のっちのこと好きですか?」
「・・・うん、好き、大好きだよ」
「のっちも、あ〜ちゃんのこと大好きです」
そんな、熱い目で見つめられたら心臓がもたないよ・・・。
「んんっ・・・」
「・・・気持ちいいですか?」
「・・・うん」
「せん、せい・・・あ〜ちゃん・・もう、・・・限界、かも・・・」
「わかりました。のっちが受け止めてあげますから・・・安心して下さい」
あたしは先生の言葉を信頼して限界に達した。
先生はそんなあたしを言葉通り受け止めてくれた。
「う〜ん・・・」
あれ!?もしかして寝ちゃってた!?
隣には、うつ伏せで寝息を立てている先生。
あ〜もう朝だよ・・・。
ヤバイ!また裸で寝ちゃった。先生もそうだし・・・。
あたしは急いでベットの下に落ちているピンク色のパジャマを着る。
カーテンを開けると、外は青空が広がって良い天気。
「ん〜・・・」
先生が左目を擦りながら眠りの世界から戻ってきたみたい。
「おはよ、あ〜ちゃん」
「おはよう。ごめん、起こしちゃった」
先生は笑顔で首を左右に振って否定した。
「ふわ〜・・・。今日どっか行く?」
あたしを見つめ頬杖をつき、あくびをしながら先生が言った。
「えっ?いいの!!」
「うん。なんか天気良いみたいだし、たまにはいいじゃろ?」
「ほんと!!嬉しい」
おもわず、まだ寝そべってた先生に抱きついた。
「あ〜ちゃん、どこ行きたいん?のっちがどこでも連れてってあげるけぇ」
先生とならどこに行ってもいいんだけど、実は前から行きたかった場所があるんよ。
「あ〜ちゃん、水族館がいい!!」
「ベタじゃな〜ww・・・おっしゃ!決まったけ!あっ、でも連れて行く条件が一つあるんよね〜」
先生は何故かニヤリと笑っている。
なんだろ?素直に訊いてみた。
「え〜、条件ってなんなん?」
「おはようの、チューして?」
- もう、この人はズルイ。あたしを喜ばせる手段を知り尽くしている。
あたしは言うとおり、おはようのキスをした。
— Fin —
最終更新:2009年02月23日 04:32