N-side
「いいよ・・・。それじゃあ・・・ゆかのこと、めちゃくちゃにして・・・?」
ぎゅう、と胸の奥を掴まれたかのような感覚と
脳の中をきーん、と走るような幸せな痛み。
少し潤んだような瞳で問いかけるように呟いたその言葉。
—— ナ ニ カ ハ ズ レ タ ——
ぐっ、とベッドに着いていた拳に力が入り、シーツがそれにあわせてしわくちゃになる。
それはまるでゆかちゃんにぐちゃぐちゃにかき乱されたのっちの心の中みたいで。
葛藤も何もかもがゆかちゃんのあの一言で全て吹っ飛んでしまった。
そして、ゆかちゃんはただただ、事が始まるのを待っていた。
「・・・・・・んっ、あぁっ・・・・!」
首筋に舌をあて、ツツーと耳の下までゆっくり舐め上げる。
そして、そのまま耳たぶを甘噛みする。
ぴくん、と小刻みに跳ねる華奢なからだを壊れてしまわぬように両手で撫でまわす。
思ったより敏感に反応する彼女の甘い吐息が頬にかかる。
それだけで、脳が蕩けて倒れてしまいそうな感覚に襲われる。
「ゆかちゃん・・・」
「・・・っ、の・・・ち・・・」
顔を上げると、随分と疲れているゆかちゃん。
目はトロンとしていて、口は半開き状態。
少し乱れた衣服が脳を刺激し、より興奮させる。
愛してる。
そう、彼女に聴こえるか聴こえないか位の小声で囁いてから唇を重ねる。
それからすぐに舌をゆかちゃんに差込み、ゆかちゃんのそれを探し出す。
つんつん、と突付いてからすぐに絡みつく。
ねっとりとべた付くようなキス。
お互いの唾液も密度が濃く、それだけで愛の深さを思い知る。
いやらしい音も今は愛を奏でるそれでしかない。
「・・・・っふぁ・・・・っ」
ゆかちゃんが苦しそうなので、名残惜しく唇を離すと
行き場を失った唾液がべたっとゆかちゃんの唇の端に落ち、お互いの口をを銀色の糸が繋いでいた。
これだけで、ゆかちゃんと一緒になれた気がして幸福感でいっぱいになる。
まだ、ゆかちゃんのことを考えられる理性は保てているみたいだ。
そんな安心感と一歩先へと踏み込めぬ焦りという矛盾が自分の中を駆け巡る。
「・・・・っはぁ、はぁっ・・・のっちぃ・・・」
「・・・・・・・・・」
求めてくる声にがんがんと脳を刺激される。
再び無言で口付ける。
ちゅっ、とさっきゆかちゃんに落ちた唾液を吸い、そのまま唇を重ね、ゆかちゃんに流し込む。
それと同時に熱く火照った吐息がのっちにかかり、鼻を抜けていく。
くらっとする。
何でこんなにもゆかちゃんが色っぽいのか、
何でこんなにもゆかちゃんは夢中にさせてくれるのか、
そしてなにより
自分はこんなに愛を注ぐのに必死になれるのか。
唇を離し、こくん、と2人の愛情を飲み込んだゆかちゃんは
それを褒めてほしいかのような瞳でこちらを見る。
上目遣いをされるたびその威力が増しているんじゃないかと思わせるほどで
いつまで経ってもそれに慣れることができない。
「・・・っ、のっちぃ・・・ゆか、だいじょーぶ・・・だよ?」
すっと伸びてきた白い手がのっちの頬を撫でる。
その瞬間、
—— ス ベ テ ハ ズ レ タ ——
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「・・・ぁっ、ゃっ・・・・」
「んっ・・・・・・」
行為はもうすぐ終わりへと近づいていた。
不完全に脱がされた服と下着がなんともいやらしい。
ゆかちゃんの体はのっちの指を2本も受け止めていた。
少し動けば、くちゅっ、と鳴る音ともに
きゃっ、と鳴き、体をしならせるゆかちゃん。
今まで見たことの無いゆかちゃんの姿を脳に焼き付けようと必死になる。
それを試みるたび、フラッシュ焚かれたように目が眩む。
つまらなさを感じたのっちは「あるところ」を弾いた。
「・・・・っあああっ・・・!」
今までのものとは比にならない鳴き声を上ると
のっちの体に腕を巻きつける、ゆかちゃん。
知っていた、訳じゃない。
だって、初めてだし。
でも指を入れた瞬間から、そこに触れただけでゆかちゃんはぴくんと波を打っていた。
それでなんとなく勘付いていた。
今の今まであえてそこは刺激せずにおき、ここだというところで弾く。
- やっぱり、そこはゆかちゃんの一番弱いところだった。
何度も何度もそこを責める。
そのたびに、ゆかちゃんの吐き出す息の温度が増し、巻きつく腕の力が強くなる。
ミシミシと音を立てだしたベッドは
これ以上大きくはならないゆかちゃんの鳴き声を補っているかのよう。
「・・・ぃっ・・・の、ち・・・ィっちゃ・・・」
そうのっちの名前を呼んだあと、背中にぐっとしがみつき爪を立てたかと思うと
ふわっ、とその力は無くなりゆかちゃんは
ベッドに落ちた。
くたっ、とベッドに横たわる姿はまるでお人形さんのようで。
きりっとした鼻筋が、柔らかい唇が、それを証明してる。
そして、その美しさがこのまま目が覚めないんじゃないかという不安となってのっちを襲う。
「きえない・・・よね?」
スースーと平和な寝息を立てるゆかちゃんに安心しつつ、そっと隣に横たわる。
そっと布団を掛け、その女の子を腕の中に抱き寄せる。
柔らかい肌が、細くて白い体が、すっぽりのっちに埋まる。
「寝たくないなあ・・・」
だって、この幸せを独り占めしたいから。
背中に食い込んだ爪あとも、胸いっぱいのキスマークも、
ゆかちゃんがのっちだけにくれた愛だから。
全然痛くない。嫌じゃない。
あと、この寝顔も。
全てを満たして堕ちていったときの顔も。
今はぜーんぶ、のっちのもの。
「ゆかちゃんにだって、この幸せはあげないよ」
だから、ゆかちゃん、
ずっとのっちので居て?
(続く)
最終更新:2009年02月23日 05:22