アットウィキロゴ
Side K
「樫野。おまえさ、なんか重いよ…。」
高校入ってこれで何人目かな?
いつもの振られゼリフ。

結構惚れっぽい性分なあたし。
周りから見たら男をとっかえひっかえしてるように見えるかもしれない。
あたしが好きになる人は、みんなさっきの台詞を言って別れていく。

「あwよく言われる。」
「もっとサバサバしたやつだと思ってたんだけどな〜。なんか残念だな?」
残念なのはあたしの方だっての。
また、ハズレだったみたい。

はぁ〜。あたし男、見る目ないのかなぁ…。

「だったら、ほら…樫野とよく居る子。大本だっけ?あいつの方が合うかも。良かったら今度紹介してよ?」
も〜…最悪。

「誰を紹介してってぇ?」
彼の後ろから、ケロッとした聞きなれた声。それに振り向く彼。

「おぅ。大本じゃん。」
話題の主、のっちだ。

「なぁ、オレと付き合わnっ!!」
口説く途中で下から鈍い音が聞こえた。
のっちの膝が彼の大事な部分を蹴り上げていた…。のっち、あんたって人は…。

「こんなんで良かったら、いつでもツキ合ってあげるよ?」
目の前に崩れ落ちる彼。うわ〜、痛そw
その先に見えたのは、満面の笑顔ののっち。なんか怖いんだけど…。

「ゆかちゃん。行こ?」
あたしの手を引いて、帰り道へと進んでいく。


「はぁ〜、まったくもう。だからあんな奴やめといた方が良いって言ったのにぃ…。」
大きくうな垂れるのっち。
「だってぇ〜。今度は大丈夫だと思ったんだもぉん。」
「あの男も男だよ。こんなにゆかちゃんに想われて、なんがっ重いじゃ!」
ぶーぶー、文句たらたらなのっち。

「そりゃしょうがないよ。」
付き合いだすとなんだかんだと尽くしたり、ヤキモチだって人より激しい方だと思う。
だから、出来るだけ抑えてるつもり。でもちょっとしたきっかけで表に出てくる。

「ちゃんと良い人と付き合ってよー。」
「あたしだって出来るならしたいわよ。」
「…じゃないと、安心できんじゃん…。」
「え?」
急に雰囲気の変わったのっち。

「…のっちならゆかちゃんを振ったりせんのにな〜。」
「な〜に言っとるんよぉ?」
笑って流そうとしたけど、話を続けるのっち。
「ねぇ、ゆかちゃん。のっちのこと試してみん?」

「試すってぇ、何を?」
あたしが立ち止まると、少し先で立ち止まるのっち。
振り向いたのっちが、あたしの所まで戻ってきて、両手であたしの顔を捉えたかと思ったら。

そのまま…キスされた。

えーえー!なになに?何コレ?

顔を離したのっちがニヤッと笑って。
「こういうコトw」
「な、な、何するんよ!変な冗談やめてよ。」
「のっちが、冗談でこんなこと出来ると思っとるん?」


「…いや。思わんけど…。」
どう返して良いのか迷ってると。

「はっきり言うとぉ。のっちはずっとゆかちゃんが好きだったんよ。
じゃけぇ、ゆかちゃんが他の誰と付き合っても、ゆかちゃんが幸せなら良かったんよ。
でも、ゆかちゃんが付き合う人アホばっかで全然頼りんならんけぇ。自分でする!」

そう得意げな顔をして言われてもぉ。しかも、人が選んだ相手をアホばっかってあんた…。
「ぃや、けど〜。」
「だ〜め。もう決めたけぇ。」
のっちが顔をズイと近づけて

「覚悟しんさぃや?」
余裕たっぷりの笑顔を向けられた。

ドキッ!

え?今あたしドキッてした?

「んじゃね〜。」
意気揚々と大手を振って去っていくのっち。

どきどき…
ドキドキ……
dokidoki………。

ぶはぁww。はぁはぁはぁ…。
息止まっとったぁw

何コレ?なんでこんなにドキドキしよるん?
相手はのっちだよ?あのへらへらヘタレなのっちだよ?

や、でもさっきのはちょっと、キマッてたけど…。

いやいやwてか、あたし振られたばっかじゃなかったっけ?
どうしよう?こういう時は…あ〜ちゃん…。おぅ!そうだ!あ〜ちゃんに相談じゃ。


———————

「……という訳なんじゃけど。」
「ほ〜じゃねぇ。やっと動いたんじゃね。のっち。」

え?
「やっと?ちょ待ってあ〜ちゃん。あ〜ちゃん知っとったん?」
「うん。知っとるよ?いっつもゆかちゃんが振られた後、相手をシメてくるって言ってたよ?」

…。そういえば、翌日に相手と顔を合わせた覚えがない…。
あれはのっちだったんだ…。

「んで、何でもっと良い人を選ばんのじゃ!って怒ってた。」
「あぁ、それ言っとった。」
「ふふ。そしたら、ちゃんと諦められるのにって。」
優しく笑うあ〜ちゃん。
あ〜、あたし、のっちに辛い思いさせちゃってたんだね。

続けて聞いてくるあ〜ちゃん。
「ゆかちゃんは?キスされて嫌じゃなかったん?」

嫌じゃなかったけど…。
「…嫌とかより、びっくりの方が大きすぎて、良ぅ分からんかった。」
そうだよ、あまりにも突然すぎて分からんかった。

「でもぉ…どきどきしたんじゃろ?」
「うん。」
「じゃあ、答えは出とるんじゃない?」

あ〜ちゃんの言葉に、ふぅ〜と息を吐いて。
「そうじゃね。」
妙にスッキリした感じ。


よーーしっ。
そんなに言うんなら、試してやろうじゃない。のっち。
後であ〜ちゃんに泣きついても遅いけぇね。

まぁ、キスから始まる恋も悪くない。


(おまけ)

Side N
ゆかちゃんと別れた後、猛烈に後悔していた。
なんちゅうコトを言ってしまったんじゃのっちはぁ!

『覚悟しんさぃや』て、のっちどんだけ自信家なんよ?ヘタレのくせに何を言っとるんじゃ自分!
っていうか。むしろあれで嫌われちゃったら、元も子もないじゃん!!!

うぉぉぉおおおwww
のっちのアホぉぉぅうww

謝る?謝って、さっきの無かったことにして?とか言う?
そんな、許してくれるわけないじゃろw

じゃあじゃあ。次ぎ会っても、いままで通り接してみる?
いやww絶対変な顔されるの目に見えてるわw

ん?そうじゃ!ここはあ〜ちゃんに…。
…ダメじゃ。そんなんのっちが悪いって言われるよぅ。


どうしよぅ…。マジどうしよう?
ぶつぶつぶつ…………。


この日の夜。眠りに就いても夢でもがき苦しむのっちの姿があったとかなかったとか……。


<恋はキスから>fin





最終更新:2009年02月23日 05:44