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あなたのことを思うと、夜も眠れない。
大好きな音楽だって、ゲームだって手につかない。

だけど、伝えることなんて出来るわけない。

大好きなあなたは、大切な仲間だから…。


≪ 願い ≫


仕事が終わって帰り支度をしていると、
背後から愛しい彼女の声が聞こえた。

「今日、のっちん家泊まり行ってもいい?」

ゆかちゃんは先に支度を済ませて、お手洗いに行ってしまっている。
楽屋にはのっちとあ〜ちゃんの二人だけ。

突然のうれしい言葉に動揺をいかにして隠そうかと思いつつ、
ゆっくりと後ろを振り返……ろうとした瞬間、

「ねぇのっち、聞いとる?」

あたしの左側からふわりとした空気と、
大好きな甘い声が現れた。

「わわっ!!…き、聞いとったよ!!」

ふいに顔を覗き込まれ、必要以上に動揺してしまう。
しかも噛んじゃってるし…。

にゃははと笑いながら、あ〜ちゃんの右手があたしの左頬をぷにぷにと触る。

「なに噛んどるんよ。のっち、顔まっかよ〜。あはは。」
「ま、噛むのはいつものことじゃけどね〜。」
「か〜わいいねぇ、のっち。ライブではあんなにかっこいいのに。
 あ。MCは別ね。」

とかなんとか言いながら、あ〜ちゃんはとても満足げに、楽しそうにしている。

「そだ、ねぇってば、のっち。今日あ〜ちゃん泊まり行ってもいい?」

「ん。明日休みだし、いいけど。あ〜ちゃん何かあったん?」

なんとか平静を装ったつもりでやっとのこと返事を返す。
どうか必要以上の動揺を覚られていませんように。

「ん〜ん。別に何もないけど…。何かないと泊まりに行っちゃいけんの?」

「そんなんじゃ、ないけどさ。ちょっと驚いたん。久しぶりじゃけ。」
「あ!もちろん、お泊まり大歓迎よ。…ちょっと部屋汚いかもしれんけど。」

「のっちの部屋が汚いのなんて百も承知よ。そんなんいま始まったことじゃないじゃろ。」

「…痛いトコつくね…。あれ?ゆかちゃんは誘わないの?」

「ゆかちゃん、今日は予定が入っとるんだって。あ〜ちゃんだけじゃ、…ダメ?」

「しょっ!そんなことないよ!!」

あわわ…。”…ダメ?””…ダメ?”って!!
反則だよ、あ〜ちゃん…。

確実にゆでだこ状態のあたしを尻目に、
あ〜ちゃんはじゃ、決まりねとえくぼが出るほど微笑んで、
あたしの左腕に自分の腕を絡めてきた。

あたしは気にしないように気にしないように、
帰り支度の続きをする。
あたしに腕を組んできたあ〜ちゃんは相変わらず、
DVD借りてこうかとか、お互いもう20歳過ぎたんだし、
晩酌でもしちゃうとか、マシンガントークを繰り広げている。

せめて明日の朝までは心臓が無事でいてくれますようにと、
心の中で祈った。


帰り支度もすんだころ、
ガチャリという音がして楽屋のドアが開いた。

「あ〜ちゃん、のっち、お待たせ〜。Perfume号も準備できとるって。」

ドアから体を半分いれた状態で、ゆかちゃんが声をかけてきた。
驚いたように、少し目を見開いた後のゆかちゃんの笑顔はとても輝いていて、
あたしに何か言いたげだ。

ゆかちゃん、何も言わないで。
あなたの言いたいことはよ〜くわかってるよ。

早くね〜と言い、手をひらひらさせながらゆかちゃんは楽屋から出て行く。
むぅ。あ〜ちゃんにはもちろんだけど、
ゆかちゃんにも絶対かなわないんだな、のっちは…。

小さくため息をつくと、心配そうにあ〜ちゃんが顔を覗き込む。
なんでもないよという意味でにこりと微笑むと、
あ〜ちゃんはほっとした顔になる。

「じゃ、行こ。」

絡めていた腕がするすると下りてきて、
あ〜ちゃんの手のひらがあたしの手のひらを捕らえる。
あまりに自然に、そしてあまりに当然のように。


お願い。

そんなことされたら勘違いしちゃうよ。

期待しちゃうよ。


お願いだからこれ以上好きにさせないで。





 ≪つづく…といいな≫






最終更新:2009年03月17日 17:17