11月下旬になって、3人でお昼ごはん中、
あーちゃんが心配そうな顔をして、私に問いかける。
「最近なんか、ぼーっとしてない?」
「……そう?」
「体調よくない?」
「いや、元気よ。いつも通り」
私はにっこりしてみせる。
「寒くなって、冬眠モードなんじゃないの?」
のっちは相変わらず、口いっぱいにご飯を入れる。
「あんたは何でそんなにほおばるかね。女の子なんじゃけ、
一口は小さく!」
のっちはふくれっ面をする。
あーちゃんの言葉は、私にあの言葉を思い出させた。
「女の子らしいって、何………?」
私はつい、声を出してしまった。
2人がこっちを見てるのがわかる。
私は、あーちゃんとのっちの顔を交互に見ながら、もう一度聞く。
「女の子らしいって、何………?」
「ゆかちゃん…?」
「女の子はさ、男の子に恋をしなくちゃいけないの?
スカートはいて、ピンクのものを身につけて、
それが女の子らしいってことなの…?」
2人とも驚いてる。
私も、自分に驚いてる。
いつもはしっかり言葉を選んでしゃべるのに、
今は考えるよりも先に言葉が出ていく。
「それはさ…」
のっちが床を見つめながら、口を開く。
「それは、誰にも分かんないよ。だって、辞書にも載ってない」
あーちゃんが複雑そうな顔をしてる。
のっちは無表情のまま、言葉を続ける。
「分かんないけど……、分かんないってことは、
それって、どうでもいいことなんじゃないかな」
私は今までに、こんなに真剣なのっちを見たことがなかった。
あーちゃんもそうだったみたいで、
息するのさえ忘れて、のっちを見つめてる。
「人を愛せるんなら、それだけでいいんじゃない?」
あーちゃんが泣きそうな顔になる。
知ってたんだね、あーちゃん。
のっちの気持ち、本当は知ってたんだね。
3人が、それぞれの思いをめぐらせる。
にぎやかなお昼の音が、聞こえなくなる。
のっち。
私は、のっちのこと全然知らなかったみたい。
私なんかより、ずっと苦しい思いをして、
葛藤して、
のっちなりの答えを見つけていたんだね。
みんなにいじられたり、何を言われても笑っていられるのは、
鈍感だからじゃなくて、
誰よりも繊細だからだったんだ。
ありがとう、のっち。
私はなによりも大事なことを、のっちから学んだ。
最終更新:2008年10月10日 14:48