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(N)


「ん…ふぁ〜」


いつもの天井が目に入る
小さく伸びをして体を動かした
状況がいまいち理解できん…えっと、なんじゃったかな
ゆかちゃんに頭撫でられてたら眠くなって…
どうやら本当に寝てしまってたらしい

あっそうだ、ゆかちゃん!
少し焦って周りを見ると、なんだ…すぐみつかった
のっちより少し斜め上で静かに寝息をたててるゆかちゃん

いつもとは違う視点から見るん貴重だな
なんて思いながら、しばらく寝顔を見てた

あっおでこ見えてる、なんか久しぶり
色白いなぁ、お人形さんみたいじゃ
…確か起こしてくれるとか言ってなかったっけ?


「寝ちゃってんじゃん」


のっちはくくっと笑って
ゆかちゃんの背中に左腕を回した
必然的に顔がゆかちゃんの胸元にきたから
思わずほっぺたですりすりしてしまう
あったかい…


「ん、」


そんな事をやってると、のっちの頭上で声がした
顔を上げると、うっすら目を開けて眠そうな表情のゆかちゃんと目が合う


「起きた?」
「ん…ゆか寝ちゃって、た?」
「うん、よう寝とったよ」
のっちはまたゆかちゃんの胸に顔をうずめる


「ああ〜ごめん、起こすとか言うとったのに…」
「ほんとだよ」


ゆかちゃんの右腕がのっちの頭に回って
そのままぎゅって抱きしめられる
ちょっと苦しいけど、心地がいい

のっちの髪を軽く撫でながら、
ゆかちゃんはなかなか起きようとしない


「二度寝?」
「のっちぃ…」
「ん?」
「今何時?」
「えっと、」


のっちはゆかちゃんの腕の中からはい出て
近くにあった携帯に手を伸ばした


「げ!もう11時じゃん!」
「嘘っ!」


ゆかちゃんは焦ったようにそう言うと、ばっと体を起こした
やばい、ちょっと寝過ぎたみたいだ



「泊まってく?」
「…いや、帰るよ。明日も朝から大学行かないけんけえ」


そう言うと、んーって両腕を上げて伸びをした
無防備なその行動に…つい心がつられてしまう
のっちは腕を上げてすかすかになったゆかちゃんの脇腹に
両手を回して抱きしめた


「ん!…どうしたん?」
「ん〜、別に…ゆかちゃんほっそいね…」
「のっちも細いじゃん」
「いや、違うんよ。なんか違うんよ」
「何がよ」


ふふって笑ってゆかちゃんはのっちの頭を撫でる
こんな時間が続けばいいのにな、
なんてふと考えてしまい


「…帰ってほしくなぃ…」


思わず出た言葉に
ぴたっと、のっちの髪をとく手がとまった


「…ちゃんとしたらって言ってたよね…?」
「ゆか、期待して待っとってもいいん?」


顔をあげるとハニカンだ様なでも悲しそうな、
そんな目をしたゆかちゃんがいて
のっちまで、なんだか切なさが込み上げてくる

ゆかちゃんに回していた腕をといて、体を離した


「…うん、待っとって…」


そう言うやいなや、がばっとゆかちゃんが抱き着いてきて、
その勢いで倒れそうになりのっちは後ろ手をついた
肩に顔をのせてしがみついてくるゆかちゃん
左腕だけで体をささえて、右腕はゆかちゃんに回す


「帰らん…」


かぁっと顔が熱くなった
それと同時に、せわしなく動きだす心臓
あ、やばいこれはやばい

ゆっくりと顔があがって、目があったかと思ったら
そっと唇が重なった
そのままゆかちゃんの体重がかかって
のっちはひじで体を支える形になる

寝る前にしたキスを思い出して頭がそれ一色になり始める
甘い甘いゆかちゃんはのっちの頭と心をくすぐる天才で
それに抗うには強い精神力が必要で
今ののっちに…あんのかな…


長い長いキスの合間、
休憩するみたいに唇が一瞬離れて、また落ちてこようとするから
のっちは顔を横に背けてそれを阻止した
…まだなんとかあったみたいだ


「も、だめだよ」
「やだ…」


傾けた先にゆかちゃんが現れて
のっちの唇をさらっていく


「ん…、ふっ」


次第に深くなるキスに
舌の柔らかい感触に
頭が麻痺しそうだ

けど、のっちは強引にゆかちゃんから逃げた


「ん…だめ、」
「だめってなんで?」
「いや、その」
「のっちそればっか、だめばっか…」


「ずるいよ…いじわる…」


目に涙をためてじっとみつめられる
そんな顔…しないでよ
我慢きかんくなりそう


「さっきも…のっちからキスしたいって言ったのにすぐやめるしさぁ…」
「だ、だって…理性、きかんくなりそうで…」


(K)


そう言って目を伏せたのっち
…何それ
のっち、ゆかとキスしたら理性無くなっちゃうの?
それはゆかだから?
それとも他の誰かでも同じ?

そんなことが頭に浮かんだけど
今はそれどころじゃない
目の前のこの人の温もりを、どうしても手に入れたかった


「効かんくなったらだめなん…?」


のっちはまゆをハの字にした真っ赤な顔でゆかを見た


「だっだめだよっ」
「…なんで?」
「なんでって…」
「理性ってそんなにえらいん?」
「!」


「のっち…」
「理性…捨てちゃだめ?」
「…だ、め」
「ゆかも…だめ」
「理性とか、知らん」


片ひじをついているのっちをそっと押すと
ちょっと抵抗されて
のっちはがばっと上半身を起こした


「ゆかちゃん、ちょっちょっと落ち着こ、」
「…落ち着いてるもん」


のっちの足の間にいる体を少しあげて
そっと、ももにまたがった


「…好き」


のっちは耳まで真っ赤に染めて
潤んだ目でゆかを見上げてくる
すごく、可愛い


「帰ってほしくないって言ったん、のっちじゃからね…」



(N)

のっちの上にまたがって見下ろしてくるゆかちゃん
心臓がぎゅってなる
ゆかちゃんといるとよくなるあの症状が
更に激しくなってのっちに襲い掛かってくる

ああもう…
だめだと思うのに、きつくは言えなくて
本当はのっちも何かを期待しているんだ

けど、こんなんだめだよ
のっちはゆかちゃんを大切にしなきゃだめなんだ
それに…またあ〜ちゃんに隠し事が増える
2人きりで会っているのも隠し事になっているんだけど
あ〜ちゃんに話せない段階で、その、…理性を崩壊させてしまうのはなんだか後ろめたくて
だから、こんなん…


ゆかちゃんの手がのっちの頬に触れた
そのまま近づいてくる顔を避けるように、思わず下を向く


「…そんなに嫌?」
「嫌、とかじゃなくて、」
「じゃあ、いい?」
「…」


なんて答えていいのかわからない
なんて言えば伝わるんだろう
そもそも伝えることなんてできるのだろうか
自分でさへ簡単に分からなくなってしまうのに

ぎゅっと頭を抱えられる
さっきも感じた息苦しさ
心地いいのは変わらないけど
泣いてしまいそうだ


「…待ってられんよ…」


頭の上で細い声がした
ゆかちゃんの本音
頭の奥がキシむ

のっちを包んでる腕を解いてもらって、
ゆかちゃんの腰に手をそえて見上げた

吸い込まれそうなほどにゆかちゃんの瞳は黒く深くて
もう、目を反らすこともできない
のっちの肩に手を置いたゆかちゃんは話し始めた


「ゆかは…のっちが好きで、でものっちはそうじゃないんは分かっとるよ、」
「こうやって一緒にいてくれるんも優しさだって分かっとる、でも」
「のっちといると欲が出ちゃうんよ、どうしても…触れたくなる」
「待たなきゃだめって分かってるけど…上手くできん…」


今にも泣き出してしまいそうな
唇を震わせながらのその言葉に、
もう…抵抗なんてする事、できなくなった


あ〜ちゃん、ごめんなさい
また秘密が…増えちゃう







最終更新:2009年03月17日 17:33