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夏休みは
思った以上に、長く
思った以上に、短くもあった。


見えていなかったものが見え、
見えていたものが、さらに確かなものになった。



新学期が始まった。



夏休みに撮りためたフィルムを持って部室に向かう。



自然とにやける自分。

気持ち悪いね。うん、わかってるよ。



「失礼しまぁす」

「はい、いらっしゃい」

「いらっしゃいって・・」

お客様扱いですか?


「3年生で、ここ来てるの、大本さんくらいだよ?」

「え?」

「だって、みんな引退してるもん」

「あぁ・・」


のっちには、そんなこと関係ないよ。


「…来たら、迷惑ですか?」

「んー?全然w」


よかったぁ。


「ふふっ、なんか、すっきりした顔、してるね?」

「そう、ですか?」

「うん、なんかあったの?」

「いや、、、別に。あ、でも、いい夏休みを過ごせたかな?」

「へぇ、、あんなに渋ってなのに。よかったねぇ」

「うん、まぁ、、、
 あ、これ。向こうで撮った写真。
 先生に見せたいって思って」

フィルムをカバンの中から出す。

「へぇ、いっぱい撮ったんだね」

「うん。なんか、見るもの全て新鮮で。
 単純に、先生に見せてあげたいって」

「・・うん、ありがと、のっち」


離れてみてわかったよ。
どんなに、先生のことが好き、か。



新しい景色を見るたび
先生を想った。


同じものを見たい。感じたい。


きっと
好きになるって、こういうことなんだ。



「じゃさ、さっそく現像しよ?」
「あ、はい」
「もう、自分でできるでしょ?」
「えっ、、、あぁ、、、微妙かも・・」
「えぇー、もう大丈夫だって!」
「まぁ、、、、じゃ、やってみます」



初めて、1から
自分だけで、写真の現像に取り掛かる。


先生は、傍にいてくれるけど
なにも言ってはこない。


うわっ、、、試験みたい。



教わった手順を一つ一つ思い起こして
1枚1枚
現像していく。



我ながら、なかなかの出来、だね。


けど
この写真から
自分の感動の
何分の1くらい伝わるのかな?


「ちゃんと手順、覚えてるじゃんw」

「ま、やればできる子ですから」

「わぁ、、自分で言ってるよw」



写真を見上げながら
くすくす笑う先生。



自分の撮った写真を見られるってのは
なんだか
自分の内面を覗かれるようで
すこしくすぐったい。



「・・・どうっすか?」


「うん、、、いいね。ニューヨーク、ほんと楽しかったんだね」

「うん」


ほんと、、いつか・・・


「ねぇ、先生?いつか、さぁ———


一緒に行こう?


素直なホンネ。


けど、ココロのどっかでブレーキがかかる。


「…行ってみてよ。ほんと、いいとこ、だから・・」



「・・そだね。いつか、行ってみたいなぁ・・・」

そう、先生は答えた。




先生?


なんで、このとき、素直なキモチを言えなかったのかな…

      • それはたぶん、

この幸せな時間を壊したくない、、、そう思ったからなんだ。

はっきりさせることを
ココロのどっかで、恐れてたんだ。

いつか、なんて
未来を描くことを・・・

だって、確かにあるのは
今、だけだったから。



この頃から、あたしは

ただ単純に、自分の想いに素直に従えなくなっていたのかもしれないね。






最終更新:2009年03月17日 18:19