のっちと知り合って早1ヶ月。
あたしたちは三人でいることが多くなった。
あたしは最初は嫌だった。
それはのっちに限られたコトじゃなくて、他の子に対してもそういう思いがある。
あ〜ちゃんは誰にでも優しく明るい。
これは小学校から変わらない彼女の性格だ。
昔からクラスに一人で居る子に話しかけて、自分たちのグループに入れてあげてた。
あたしもそんな、あ〜ちゃんに救われた一人。
転校生だったあたしは当時はかなりの内向的な性格の為、なかなか友達が出来なかった。
最初はみんな転校生を珍しがって話しかけてくれたりしてたけど、あたしは上手く会話出来なくてとうとう皆に愛想をつかれてしまった時。
あ〜ちゃんが話しかけてくれたの。
その時は今でも鮮明に思い出せるほど、すごくすごく嬉しかった。
それ以来あ〜ちゃんはあたしの親友になってくれた。
あ〜ちゃんが一人でいる子に声を掛けても、あ〜ちゃんの隣はずっとあたしの指定席。
今までどんな子が来ても、あ〜ちゃんはずっとあたしをそこの指定席に座らせてくれてる。
いつも指定席に座りたくて、一緒にいたいから、高校も大学もあ〜ちゃんと一緒にいたから同じにした。
「ね!うちらも献血してみない?」
のっちがいきなり突拍子も無いことを口にした。
なんであんなに献血がしたかったのは謎だが、あたしたちは献血車に入った。
でも結局はのっちしか出来ないという結果だった。
「三人で一緒に事故った時は、もし血が足りなくなっても安心じゃね」
また、のっちがアホなコトを言い出した。
なんでそういう発想が出るのかが不思議。
あまりにもアホだったんでイジったら、あ〜ちゃんもノってきた。
イジられてるのっちも満更じゃないみたい。
三人でいると、こういう風にのっちをイジってふざけ合うのは嫌いじゃない。むしろ楽しく感じる。
「んじゃ、のっち午前中はこっちだから、またお昼ね〜」
そう言ってのっちはあたしたちと反対側の校舎へ走って行った。
今日の午前中は、あ〜ちゃんと一緒の授業。
当然隣の指定席に座る。
つまらない授業で眠くなる。頬杖ついてウトウトしてきたその時、あ〜ちゃんが小声で話しかけてきた。
「なぁなぁ、ゆかちゃん?」
「うん?」
「・・・のっちのコト、嫌い?」
え!?何を言ってるの、この子は?聞いてどうする気?
「・・・いや、別に?何で?」
動揺を隠して答える。
「だって、のっちが『かっしーってのっちのコト嫌いなんかな?』って本人がすごく気にしてたから・・・」
あっ、あたしの知らないトコで二人で会ってるんだ・・・。
「・・・嫌いじゃないよ。嫌いな人と一緒にいるほど、ゆかはまたそんな人間になってないよw」
「そっか〜、そうだよね。よかった〜。これ、のっちに伝えておくね」
そう、のっちのコトは嫌いじゃない。
のっちはたぶんすごく素直で純粋で優しくて良い子。
あたしが持ってないものを持っている子。
あ〜ちゃんが他の子よりも構っているのもわかる気がする。
太陽のあ〜ちゃんがそっぽを向いてしまうと、あたしは光が当たらない月になってしまう。
誰にも気づかれない新月になってしまう。
だからそれが怖いの。
のっち・・・あたしの指定席には来ないで、狙わないで。
もし狙ったら、のっちでも許さない。
最終更新:2009年03月17日 18:31