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2学期も始まり
また繰り返される日常。


周りは、どんどん受験へ
未来へと向かって、加速していく。


けど、あたしは
そこに立ち止まったままで
ただただ、周りの景色だけが流れているように
感じられていた。


現実感のない日々の中
相変わらず、先生だけがリアル。

いや、、、、もしかしたら
リアルな日々の中
先生だけが、“夢”だったのかもしれない。



今日もまた、部室へと足を運ぶ。
補習の後、担任に呼び出されたため
いつもより、遅くなってしまった。

もしかしたらもう、
先生はいないかも、、、、な。



「失礼し、、まぁ、、、、」


えっ、、、


薄暗い部屋の中

うっすらと浮かび上がる、ろうそくの灯。


「誕生日おめでと、のっち」


状況が飲み込めず
フリーズしてるのっちの手をひっぱって
机の上
用意されたケーキの前まで導く先生。
ちょこんと、イスに座らされる。


「ま、1日早いんだけどね」



「…な、んで・・」

誕生日の話なんてしたことないし・・・


「ん?…あぁ、、、部員の子たちが騒いでたから。
 てか、毎年、すごいことになるってウワサ聞いたよ?w」

「・・別に、、すごくはない、、けど・・・」


てか


「やばいっ・・」

「えっ?」

「嬉しすぎて、ちびりそう」

「ははっ、大袈裟だよっw」


大袈裟なんかじゃないよ。
まじ、嬉しすぎて、言葉が出てこない。


「・・ろくそく、、火、消してよ?」

「うん…」


ふー・・・


「18歳、おめでとう」

「ありがとう」


ろうそくが消え
夕日の残り日だけが差し込む部室。


「電気、つけるね」
そう言って立ち上がった
先生の腕を掴む。

見上げると
どうしたの?って表情の先生。


いろいろと伝えたいことはあるはずなのに
頭ん中、浮かんでは消え
コトバとなっては出てきてくれない。


ただ
「ほんと、ありがとう。。。ありがとう。。。。」

それだけ。
それしか、言えなかった。



見つめる瞳の先
愛しい、その人の
すらっと伸びた腕が
静かに向かってくる。


首元に回された腕。


同じように
腕を伸ばし
ぐっと
背中に手を回し引き寄せる


わっ—


バランスを崩した、先生が
のっちの膝の上に腰掛ける体勢、に。


そっと抱きしめて
さらさらと、長い髪を撫でる。


心地よい瞬間。



素直に
幸せだ、な
そう思えた。


腕の中にいた先生が
少しだけ、あたしとの間に距離をおく。

斜め上、見上げると
黒くキレイな先生の瞳。



何も言えず、ただ
見つめ返す。



「プレゼント、、、なに、がいい?」


プレゼント、、、、、か・・


「キス、したい?w」


試すように、先生が問いかける。


のっちから、して、いいってこと?

もちろん、したい、けど…


「いやぁ、、、」


「ん?・・なに…?」


先生の表情が、また一つ、変わる。



「・・・ケイタイの、番号が知りたい」


ダメに決まってる。

わかってはいたけれど、吐き出した想い。



先生の表情から、色、が消える。



戸惑っている。


少しの後悔。

けど、
それ以上に
その表情さえ愛しいと思ってしまうあたしは
完全に、先生に溺れている。


「わがまま、言ってるのはわかってるんだ・・
 けど、、、絶対に、かけない、から・・・」


なに言ってんだか・・


「・・・かけないって…」


先生の瞳が揺らぐ。


「だって“先生”として、“生徒”に
 個人的に連絡先なんて教えられないでしょ?」

「…うん・・・」

「・・けど、、、、のっちは
 先生と、つながってるんだって思える・・
 そう思える、なにかが欲しくって…」


それが、連絡先。
安易、、、すぎる、よね?

笑ってくれていいよ・・・


先生が視線を伏せる。


もう1度
そっと抱き寄せる。



「絶対、、、迷惑はかけない、、から・・」



得意の“オトナ”の対応で
突き放してくれれば、、、
それでも、よかったのに・・・


そっと
頬に口付けを落としくれ



「…わかった、、、教えてあげる」



状況を理解できないでいると

先生はポケットから携帯を取り出し
番号がディスプレイされた画面を
のっちの目の前に差し出す。


「ふふっ、どうぞ」



カチカチ、と登録。


「のっちの、、、は?教えてくれないの?」



「あ、、、よかったら、どうぞ…」

登録したばっかの
先生の番号にワンコール。



「はい、ありがと」



相変わらず、先生の本心は見えない。


けど、いいんだ・・



「のっちこそ、、、ありがとう」


わがまま、聞いてくれて。




窓の外の夕日は、もう沈んでしまったようだ。


部室は真っ暗になった。



何も、しなかった、、、、なにも。



ただ、心臓に近いほうの
その腕で、愛しい先生を抱きしめ
もう片方の手は
指先を絡ませて・・

ぎゅっと
ただ、ぎゅっと



先生の体温を感じていた。




先生?


決して、つながることはないだろうと思っていた
この、連絡先が
あんな、残酷なタイミングで
つながることになるなんて、、、ね。


それでも、このときの“プレゼント”が
ずっと、ずっと

のっちのココロの支えだったんだよ。。。






最終更新:2009年03月17日 18:43