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「はぁ…疲れたぁー」
今日のバイトも終えて帰宅。ヤレヤレ、と家の鍵を取り出して開けた。
「ただい、ま…」
靴を脱ぎながら部屋に目を向けると、ゆかちゃんが何やら下着姿でもごもご動いているというちょっと滑稽な光景。
…パジャマが耳に引っ掛かってるよ。

何だか可愛かったからそのままにしようかとも思ったんだけど、それはさすがに可哀相だ。
「ゆかちゃん、ちょっとジッとしてて。…っしょ、と」
「んにゃっ」
すぽん、とパジャマが頭を通って、ようやくゆかちゃんの顔が現れた。
「…のっち、おかえりなさい」
「え、うん。ただいま」
「……かお」
「顔?」
「かおみていいなさいって、いわれたから…」
「………」
…もしかして、ゆかちゃんを捨てた飼い主さんに言われた事なのかな…。ちゃんと守ってるんだね、今も。


「…そっか。えらいね、ゆかちゃん」
ぽんぽんと頭を撫でると、ゆかちゃんはふにゃっと笑った。初めて見る笑顔だった。
その笑顔を見たら、何だか泣きそうになってしまって。
でも、ゆかちゃんに見せられなくて何度も頭を撫でてごまかした。


…ゆかちゃんは、きっと今もその飼い主さんの事を想ってるんだ。
多分それは、のっちには計り知れない程の。

その行き場を失った想いを、のっちはどれだけ掬えれるんだろう。


「のっちぃ」
「…ん?」

ぐぎゅる〜

「おなかすいた…」
「……」

…ゆかちゃん、のっちの涙返して。

  • つづく-







最終更新:2009年03月29日 21:25