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「かわいい〜!!」
今日はあ〜ちゃんが家に来ました。前々からゆかちゃんに会いたいって言ってたんだよね。

あ〜ちゃんがしゃがみ込んで、ゆかちゃんに目線を合わせた。
「お名前は?」
「……」
お、のっちの腰に隠れちゃった。やっぱり人見知りなんだなぁ。
「ゆかちゃん、ちゃんとお顔見て自分の名前言わなきゃ駄目だよ」
そんなゆかちゃんをあ〜ちゃんの前に立たせる。
ゆかちゃんはおずおずとあ〜ちゃんを見上げた。
「…お名前、言える?」
「……ゆか」
「ゆかちゃんかぁ、可愛い名前じゃね〜。あたしはあ〜ちゃんって言います、よろしくね」
優しいあ〜ちゃんの言葉に、ゆかちゃんから怯えが消えた。
…やっぱりあ〜ちゃんだなぁ。
そういう所、すごく上手いんだよね。

ふと、ゆかちゃんがのっちの服を引っ張る。
「のっちぃ…」
「なに?」
「おともだち…」
「お友達…?」
「あ〜ちゃんは、ゆかとおともだちになってくれる、の?」


…ゆかちゃん。

「そうだよ、ゆかちゃん。あ〜ちゃんは、ゆかちゃんとお友達になりたくてきたんよ」
何も言えないでいたのっちに代わって、あ〜ちゃんがすかさずそう言った。
それから、のっちに向かって目配せしてきた。
多分、『あ〜ちゃんに任せんさい』って言ってるんだよね…ありがとう、あ〜ちゃん。

「おともだち?」
「うん。あ〜ちゃんとゆかちゃんは、今日からお友達じゃけぇね」
あ〜ちゃんがにこりと笑った。つられて、ゆかちゃんも笑ってのっちの方へ振り返った。
「のっち、のっちぃ」
「ん?」
「ゆかにもできたぁー」
そうやって、あまりにも嬉しそうに言うもんだから。
「…うん。よかったね、ゆかちゃん」
「にへへぇ、あ〜ちゃんとおともだちー」
ちょっとだけ、泣きそうになったのは内緒だ。

「ゆかちゃん、あ〜ちゃんと遊ぼっか!」
「うん」
「何しようかね…そうじゃ!あ〜ちゃん家に遊びに来ん?」
「ゆかが、いってもいいの…?」
「もちろん!ちゃあぽんにも紹介したいし、たかしげにも…あとお父さんとお母さんにも」
「ちょっと待ってあ〜ちゃん、そうやってゆかちゃんをそのまま西脇家の一員にする気じゃ、」
「…ちっ。バレたか」
「って、本気だったんかい!」
…ふぅ、危うくゆかちゃんがあ〜ちゃんに連れて行かれる所だったよ。


「…ねぇ、のっち」
突然、あ〜ちゃんの声のトーンが変わった。
「前の飼い主さん、捜さんの…?」
「……捜して、見つかった所で何にもならないよ。だって、あの雨の中ゆかちゃんを捨てた人だもん」
「……」
「だからゆかちゃんには、沢山幸せをあげたいんよ。もし、のっちと居る事で少しでも幸せだと思う事があるんなら、ずっとそばにいたい」
ゆかちゃんの頭を撫でると、嬉しそうに笑った。
のっちもつられて微笑む。
…そう、こうやって笑いあってる今を幸せだと思ってくれるんなら、のっちはずっとゆかちゃんのそばで笑顔をあげたい。
「…ゆかちゃんが、前の飼い主さんの所へ戻るって言ったら?」
「……その時は、のっちは何も言わないよ。それがゆかちゃんにとって、一番幸せだって思う事なら」
そう言うと、あ〜ちゃんはふふっ、と笑った。
「のっち、変わったんじゃね」
「そう?」
「うん。だってゆかちゃんの事話す時、本当に幸せそうじゃけぇ」
優しい目で、声で、あ〜ちゃんは言った。

…そっか。ゆかちゃんがのっちを変えてくれたのかもしれないね。
のっちにとって、一番の幸せをくれたゆかちゃんが。

「…のっちにとって、一番大切な子だからね」

  • つづく-







最終更新:2009年03月29日 22:03