なんか、凄い事になってるんですけど。
のっちがあ~ちゃんで、あ~ちゃんがのっち…。つまりは、お互いの体が入れ替わったんだ。
「とりあえず、原因は何じゃと思う?」
ハキハキしてるゆかちゃん。のっちの姿のあ~ちゃんは暗い。凄いテンションが低い。そりゃヘコむよね。朝起きたら自分じゃないんだもん。
「あ~ちゃんは思い当たらん…何も変わった事しとらん」
自分が話してる。信じられない光景。うわーコレ精神的にやられる。衝撃です、一言で言えば。
「じゃあ、のっちは?」
「のっちもいつもと変わらんよ」
昨日はコンビニでご飯買って、フラフラと散歩して、家に帰った。別にこれと言って特別な事はしていない。
「のっちの事じゃ、どうせ変なモンでも拾い食いしたんじゃろ…」
ムスッとあ~ちゃんが言った。本来の姿のあ~ちゃんに言われるならともかく、自分に言われたと思うと、なんかイラッと来た。軽く憎たらしい。
「拾い食いなんてするわけ…、あ」
途中まで言って、思い出した。
「しよったん?」
目を真ん丸にするゆかちゃん。あ~ちゃんは…本気で殺人しそうな目。自分、迫力あるなぁ~って感心してる場合か。
「拾い食いってゆーか、えっと…」
「したんね?」
「はい、ごめんなさい」
ここは素直に謝るのが一番。だって袋に入ったままの綺麗な飴が落ちてたんだもん。凄い変わった色してて、美味しそうだったんだもん。
そんな言い訳してみたら、あ~ちゃんに頭を思いっきり殴られた。アホーっ!て怒鳴られながら。凄く痛い。頭がジンジンする。
「自分を殴るなんて…」
うぅ、それコッチの台詞…自分に殴られるなんて…。
「もしかして、それってこんな飴?」
ゆかちゃんが自分の携帯の画像を見せた。黄色くて、なんかキラキラしてて、星みたいな形。
「間違ないよ!確かにこんな飴じゃった、」
「…¨この飴を舐めると三日間だけ他人と体が入れ替わります¨だって…」
説明文みたいのを読むゆかちゃん。なんてこったい。それより、そんな飴がこの世に存在する事の方が衝撃だ。作った人の顔が見たい。
「なんでよりによって、あ~ちゃんが入れ替わらにゃいけんのよ!」
そう怒るあ~ちゃん。ごもっとも。訳が分からん、なんであ~ちゃんと入れ替わったの。あ~ちゃん風に言うと、意味が分からん。
「¨入れ替わる相手は一番好きな人¨…なんじゃと」
ゆかちゃんがそう言って小さく笑った。そっか、それなら納得。あ~ちゃんの事、一番好きじゃもん。チラッとあ~ちゃんを見ると、耳まで真っ赤になっていた。
それを見て、今更だけど気付いた。これじゃ告白みたいだ。まぁ好きって前から言ってるけどさ。もちろんあ~ちゃんも前から知ってる。
照れてる自分を見てたらコッチまで恥ずかしくなってきた。中身はあ~ちゃんだけど、体はのっち。自分の姿で照れんでよ恥ずかしい。
「とにかく三日経てば元に戻るんよ、それまで周りになんとかバレんようにせにゃ」
冷静なゆかちゃんの声。そっか、バレたら絶対パニックだよね。でも唯一の救いは、のっちの家族が旅行中だという事。家族にはバレる可能性が絶対高いし。
でもあ~ちゃんの家族はもちろん家に居る訳で。たかしげと、ちゃあぽんも。お母さんと、お父さんも。そう思うと、あ~ちゃんは大丈夫かもしんないけど、あ~ちゃんの体なのっちは大ピンチだ。
「どーしよ…」
「大丈夫、あ~ちゃんがちゃんと助けてあげるけぇ」
「ほんまに…?」
「ゆかちゃんも、おるし」
ね。と、はにかむ様にあ~ちゃんは言った。ゆかちゃんは笑顔で頷く。
自分は単純なんだと思う。この二人がそう言ってくれるだけで、全部上手く行くんだと確信してしまうんだ。理由も根拠も、全部二人。
「ありがとう、」
心強い二人に礼を言った。のっちも、頑張るからね。元はと言えば、のっちのせいだし。
「とにかく作戦会議じゃ」
そう言って、あ~ちゃんはPS3を叩いた。
「何しよるん!?」
大事な大事なPS3。そんな粗末に扱わんでよ!ビックリしてPS3に飛び付き、抱き抱えた。大丈夫?痛かった?そう声をかけても、もちろん返事はない。可哀相にPS3。あ~ちゃん、恐ろしい事しよる。
「三日はゲーム我慢じゃよ」
「え…!」
「当たり前じゃ、あ~ちゃんはゲームせん」
「そんなぁ~」
淡々と言うあ~ちゃんにのっちはヘタレ犬モード全開。けど、仕方無いよね、緊急事態じゃ。
そんな二人のやり取りを、ゆかちゃんは笑いながら見ていた。あ~ちゃんがソレに気付く。
「ゆかちゃん笑い過ぎ」
「だって、いつもと立場が逆転しとって新鮮なんじゃもん」
…なるほどね。
とにかく、これからどうなる事やら…
◆2:End◆
最終更新:2008年10月10日 15:20