「のっちのそばにいたいから・・・」
「うん」
涙がいっぱい溜まった黒目がちな瞳に今にも吸い込まれそうだ。
本当は、ゆかちゃんはのっちの反応を見て楽しんでるのかと思ってた。
だって小悪魔、なんでしょ?
いつもだったらここでのっちが
「パフュームなんだからい、いつ、も一緒にいるじゃん!」って噛み噛みではぐらかして
噛んだー、で、笑われて、はい、終わり。
でも今日は違うね?
ゆかちゃんが本気なら。
のっちも本気じゃけぇね。
「のっちも、ゆかちゃんと一緒にいたいよ。
さっきは・・・確かに困ったけど、それは嫌だったからじゃなくて——」
「ゆかはのっちに触りたかったの」
——————ドキッ。
のっちの言葉を遮って発したゆかちゃんの一言に、
心臓がまた暴れだした。
「触りたい」って・・・
そんなこと、言われたことも、言ったことも、ないよ。
破壊力のある直球ボール。
のっちの心に200キロオーバーで突き刺さった。
グラスを持つゆかちゃんの手。
ラメ入りのフレンチネイルが可愛い。
のっちもゆかちゃんに触りたい。
「ネイル、可愛い、ね」
グラスを持つゆかちゃんの手に触れ、グラスを受け取る。
ごめん、のっちへタレじゃけぇ、直接「触りたい」って言葉が恥ずかしくて言えん。
ネイルとか、ホント可愛いけど、今はゆかちゃんに触れる口実でしかない。
ゆかちゃんのグラスをテーブルに置き、
もう一度手に触れる。
あいている左手でさらさらの黒髪をなでる。
「さっき助けてくれてありがとう。
ゆかちゃんと踊ってるときね・・・
のっち恥ずかしくて・・・ゆかちゃんの顔、見れんかった」
ゆかちゃんがくすっと笑った。
笑顔が戻ってほっとした。
「・・・今だったら見てくれる?」
髪をなでていた手を止めた。
「うん。ずっと見てるよ」
照れてた自分がバカバカしくなった。
だってゆかちゃんはこんなに直球。
のっちも正直でいるしかない。
左手をゆかちゃんの頬に添える。
少し酔ってるのか、チークのようにピンクに染まっている。暗くてもわかるよ。
「ゆかちゃん」
次の瞬間、のっちはゆかちゃんに抱きしめられた。
(続く)
最終更新:2009年03月29日 22:09