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映画を観終わった後、あ〜ちゃんと外で夕飯を食べて帰ってきたら20時すぎだった。
部屋を少し片付けてお風呂に入って、今はゲーム中。

遠くの方で、かすかに着信音が鳴っている。
ゲームをポーズ画面にして、鞄の中に埋もれているはずの携帯を救出。

着信者はゆかちゃんだった。
「はい?」
「ちょっとー!出るの遅い!!」
出た途端、すぐに怒られてしまった。

「ご、ごめんごめん。ゲームしてたからすぐ気づかなかったんよ」
「もー、携帯電話なんだから、ちゃんと『携帯』しといてよ!」
「はい・・・すいません」
「ねぇ、これからそっち行ってええ?飲み会しようよ!」
「はい!?い、今から?の、飲み会?」
「うん、バイト先からお酒貰ったんよ。ひとりじゃ呑み切れんから、一緒に呑もうよ」
「えぇ、急だな・・・」
「だって、お酒貰ったのも急だったんだもん。んじゃ、今からそっち行くから」
「え!!か、かっしー・・・」
プーップーッ・・・。
切られた。

しょうがない・・・。
あたしは途中までやっていたゲームを片付けた。


ピンポーン。
呼ばれて扉を開く。
目の前にはさっき強引な電話をしてきた人物。
手には電話で言ってた通り、お酒が入ったビニール袋。
格好は学校でいつも見る感じの服装ではなくてパーカーにジャージといった、かなりラフな格好。
髪も少し濡れてる。顔はほぼスッピン。

「お風呂入った後?」
「シャワーだけね。のっちもお風呂上り?」
あたしの格好もTシャツにハーフパンツのジャージ。
「うん。あっ、どうぞ入って」
「はーい。おじゃましま〜す」
あたしはゆかちゃんを招き入れる。
彼女が目の前に通り過ぎた時、シャンプーの香りがした。
いつもは香水の甘い香り。
今日は違った香りにちょっとドキっとした。

あたしはグラスと氷を用意する。
ゆかちゃんは持参したつまみの袋を豪快に開けてた。

「んじゃ、バイトお疲れ様でした〜」
乾杯した。



「あ〜ちゃんも呼んだ方がいいかな?」
ゆかちゃんに訊く。
「う〜ん。もし呼んでも来んじゃろ。あ〜ちゃんち門限あるし、厳しいのよね」
「あっそうなんだ。だからバイトも禁止なん?」
「うん。学生のうちは勉強が本業だからバイトはするな!って、あ〜パパが言うんじゃと」
「ふ〜ん、そうなんだ・・・。知らんかったわ」
「・・・もっと、あ〜ちゃんのコト知りたい?」
「な、何を言ってるですか!もう、かっしーはのっちのことイジめるの止めて下さい」
あたしは軽く動揺して敬語になってしまった。
「ごめん、ごめんwほら呑も、呑も」

中身が入っている缶より空き缶が多くなってきた頃、二人ともいい感じの酔っ払いになってた。
ゆかちゃんはソファーに横たわって、ニコニコしてる。
あたしはまだ手をつけてない缶チューハイを開ける。

「のっぢ〜、それぢーらい」
呂律が回ってないゆかちゃんはちょっと可愛い。
「呑むにゃら、ちゃんと座って呑んれ」
あたしもいつも以上に噛み噛みだ。
「は〜い」
酔ったゆかちゃんは素直。
あたしもソファーに座る。

「ねぇ、のっち・・・」
「うん?」
隣にいるゆかちゃんが話しかけてきた。今度はちゃんと喋れてる。


「好きな人、いる?」
一気に酔いが醒めた。
「・・・い、いないよ」
この状態でこの質問がくると思っていなかったら、咄嗟に嘘ついた。
いるって答えたら追求されるかもしれない。
だから嘘をついた。こうするしかなかった。ごめん、ゆかちゃん。

「そっか・・・いないのか〜。あ〜ちゃんはいるのかな?」
「え?し、知らないよ。か、かっしーどうしたの?酒が回りすぎた?」

なんでここであ〜ちゃんが出てくるの?
ゆかちゃんどうしたの?

「のっちは、あ〜ちゃんとゆかどっちが好き?」
「な、何を言ってるんだい?ふ、二人とも、大切な友達だよ」
ゆかちゃんが変だ・・・。
お酒の呑み過ぎでおかしくなっちゃったんだ。
この甘い毒にやられちゃったんだ。

「かっしー、もう呑むの終わりにしよ。明日も学校あるしね」
そう言ってあたしは、ゆかちゃんが手に持ってた缶チューハイを取り上げる。

手が空になったゆかちゃんが、いきなりあたしの腰に抱きついてきた。
その拍子にまだ少し中身が入ってあった缶チューハイを、テーブルの上にこぼしてしまった。
「か、かっしー!?ど、どしたん?」
「のっち・・・」
「うん?」
「キス、したことある?」
「は?」
そして、あたしは甘い毒に侵されたゆかちゃんにキスされた。






最終更新:2009年03月29日 22:13