のっちにキスをした。
もちろんのっちは驚いている。
「初めて?」
「・・・いや」
のっちは首を左右に振る。
その答えは本当か嘘かわからない。
「何で、キス、したの?」
「したかったから」
ソファーであたしと、向かい合わせに座っているのっちの瞳が泳いだ。
「か、かっしーって、酔うとキ、キス魔になっちゃうのか〜。のっち知らんかったからビ、ビックリしちゃったw」
のっちはこの只ならぬ雰囲気をふざけた感じに変えようとしている。
そんなのっちの首にあたしは腕を回す。
「か、かっしー。ど、どしたん?」
のっちは明らかに動揺して、あたしの腕をどかそうとしている。
「のっちぃ・・・。今、好きな人いないんでしょ・・・」
またさっきと同じ質問。
「う、うん」
この答えも本当か嘘かわからない。
「じゃあ、ゆかと付き合ってよ」
「え・・・・」
のっちの瞳は大きく見開いてて、それは今にも零れそうだった。
「ゆか、前からのっちのこと好きだったの・・・。」
ごめん、のっち嘘ついた。
だってあたしは、こういう方法しか知らないの。
「そ、そうだったの・・・ごめん、し、知らなかった・・・」
「付き合ってくれる?」
「あ・・・」
「ダメ?」
「ほんとに、のっちのコト、す、好きなの?」
のっちはたぶん物凄く色んなコトを、この短時間で考えてるんだろう。
「うん」
嘘の答え。
「あ・・・でも」
「もし、あ〜ちゃんのこと想ってるんなら諦めた方がいいよ」
カマをかけた。
「えっ・・・」
また、のっちの瞳が揺れた。
やっぱり、のっちはあ〜ちゃんに特別な感情を抱いていたんだ。
「あ〜ちゃんは、女同士でキスとかって、考えられない人だから」
あたしは本当か嘘かわからないコトを、のっちの耳元で悪魔の囁きをする。
「ゆかはのっちとキスとかしたい。ゆかじゃダメなの?」
あたしはまたのっちを騙す言葉をかける。
のっちは俯いて、考えてる。
顔を上げたのっちと目が合う。
綺麗な顔だって改めて思った。
「・・・わかった。付き合おう」
これはのっちの口から出た言葉。
そう言ったのっちは真剣な眼差しだった。
その顔があたしのまだ残っていた良心に、突き刺さる。
そうして、のっちはあたしにキスをしてくれた。
あたしは彼女を騙した罪悪感と、彼女の唇の柔らかい感触に侵されていった。
最終更新:2009年03月29日 22:57