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「ふぁ〜…」
やばい、すんごく眠たい…。
授業終わりに大きな欠伸を一つ。
「おっきい口」
そこへあ〜ちゃんがやってきた。相変わらずふわふわな格好してるなぁ。

「珍しいね、あ〜ちゃん一人なんて」
たいていあ〜ちゃんは、誰かしらと一緒にいる。それは、あ〜ちゃんがなぜか人を引きつける魅力の持ち主だからなんだけど。
「ん、今日はちゃあぽんと遊びに行く約束しとるけぇ」
「そっか」
さすが西脇家、姉妹仲のよろしいことで。…と、あ〜ちゃんがなんだかニヤニヤしてる。
…なんなん、一体。
「のっち、ゆかちゃんから何か言われんかった?」
「へ?」
「…なーんじゃ。まだ渡しとらんのじゃね」
「な、なにが?なんの事?」
のっちには何がなんだかさっぱりだ。
頭の上に?を浮かべてると、あ〜ちゃんは嬉しそうに「のっちは幸せもんじゃね」って耳打ちしてきた。
……何が?


結局訳が分からないまま、バイトも休みなので帰宅すると。
「ただいまー」
ビクーッ!!
ゆかちゃんがわたわた慌てて何かをお腹に抱えていた。


…あやしい。
今日のあ〜ちゃんの言葉といい、さては二人して何か企んでるな。

「お、おか、おかえりなしゃぃ…」
「……お腹に何か隠しとるじゃろ」
「!!」
ゆかちゃんはぶんぶんと首を横に振った。…わかりやすいなぁ。
「のっちに見せて」
「だっ、だめ!」
「なんで?」
「う…だって、まだ、だから…」
「まだ?…何か作っとるんなら、」
「なんでもにゃぃもん!!」

……ゆかちゃん。

「ぁ、ごっ、ごめん…のっちってば無神経じゃね。…晩御飯作るよ」
「………」
ゆかちゃんは何かをお腹に抱えたまま、部屋の端っこに移動した。
…その日の晩御飯は、味つけしたのに不思議と味がしなかった。


翌日。
「…ん…」
携帯のアラームを止めて体を起こす。…ゆかちゃんは背中を向けて寝ていた。
…今日は謝んなきゃなぁ…ん?


ふと、枕元に何か紙がたたんで置いてある。
「…寝る前に何か書いたっけ…?」
手に取ってそれを開くと、お世辞にも上手とは言えない字で『のっちへ』と書かれていた。


のっちへ

きのう は おこっちゃってごめんなさい

いつも ゆかといっしょ に いてくれてありがとう

ゆかは のっちがいちばんだいす き です

ゆかより


「…っ、ぐす…」
鼻の奥が痛い。
涙がとめどなく溢れてきて、それはパジャマの袖にどんどん染み込んでいく。

…ありがとう、はのっちが言わなきゃだよ、ゆかちゃん。

すうすうと小さく寝息を立てるゆかちゃんの頭をそっと撫でると、眠っているのに小さく笑った気がした。


…ゆかちゃん。
のっちも、ゆかちゃんが一番大好きです。

  • つづく-





最終更新:2009年03月29日 23:02