「ちゃんとのっちに気持ち伝えてきて。」
これが、ゆかちゃんからのお願いだった。
だから、のっちを公園で見つけたとき、すごくドキドキして、話しかけた時なんておかしくなりそうなくらいドキドキで…。
でも、のっちが携帯で見ていたのは好きな人の画像で…。
心が折れそうになったりして……。
それでも、ゆかちゃんとの約束を果たすために、会話を進めていく。
振られたら、一人で泣かないで。って、そんな優しいこと言わないでよ。甘えちゃうじゃない。
自分の所に来てって言うけど。のっちに振られたらどうしたらいいの?
それでも、のっちの側で泣いても良いの?
なかなか、切り出せないあたしとは反対に。
のっちもゆかちゃんに、告白しなさいって言われてたらしく。
告白しちゃおっかな〜なんて言いだすのっち。そして…。
「…告白する!」
そう言ってブランコから立ち上がり、妙に真剣な面持ちであたしの前へと立ったのっち。
一度深呼吸をしたのっちの、真っ直ぐな眼差しに戸惑っていると、
「……好きです。」
のっちから突然の告白…。
う、そぉ…。
「あ〜ちゃんに…、片想い…してます。」
信じられない…。のっちの片想いの相手が自分だったなんて。
そんなの反則だよぅ…。
返事はしなくてもいい。解ってるからって言うのっち。
でも、それはハズレ。
だから、のっちに例の人の話をして、ゆかちゃんとの約束を果たす良いタイミング。
話してる間も、さっきの「好きです。」っていうのっちの言葉が、心にずっと響いてて。
嬉しすぎる気持ちと今までの想いが一緒になって、涙が溢れてきて自分の気持ちを伝える頃には、涙の防波堤は崩壊寸前。
そしてやっと。あたしが探していたのはのっちなんだよ?って。
のっちが、好き。って…。言えたんだ。
ありがとって言うのっちの手があたしの手にそっと重ねられて、すごく愛しそうにあたしの名前を呼んでくれて。
もう一度「好き」と言われた途端に、色んな気持ちが涙と一緒に流れ出してしまった。
だって、こんな日が来るなんて。まるで奇跡だと思ったから。
そんなあたしを、この間みたいに抱きしめてくれて、なだめる様に頭を撫でてくれる。
その触れてくるのっちの手が、すごく温かくて優しくて…嬉しかった。
あぁ〜、また顔が酷いことになってるよ〜。なのに、のっちってば顔が見たいとか言って。
…しかも泣き顔が可愛かったなんて言うから。見せても良いかなとか思ったけど。
「…ばか。」
やっぱり照れてしまって、思ってることと裏腹なことを言っちゃった。
続けて「ばか」を連発してしまうあたし。むぅ、だって、あたしを泣かせるのっちが悪い…。
ていうか、あたしが言いたいのは、そうじゃなくって…。
ようやく言えたあの日のお礼。
突然現れて、風のように去って行ったキミ。
そんなキミに奪われた心は、取り戻そうとしても全部を取り戻すことは出来なくて。
他の人に奪われてしまった方が、楽なのかなと思った時もあったけど。
今は、キミにずっと奪われたままで良いかな、なんて思ってる。
キミが…。のっちが望んでくれるなら、ずっとその腕の中に持っていて欲しい。
それから、背中を押してくれた、もう一人の大切なあの子にもお礼をしなくちゃ。
そのためって訳じゃないけど、このぐちゃぐちゃな顔を直すためにのっちの部屋にお邪魔する事になった。
軽く直す程度だから、そんなに時間は掛からなくて。
終ってから、折角二人でいるし、ゆかちゃんに報告する?って聞くと、その提案にのってくるのっち。
そのまま、電話しようとしたら「ちょっと待って!」って腕を掴まれてビックリしてしまった。
どうしたのかと思ったら、あたしが例の人に告白しない理由を思い出したみたいで…。
思わず視線を逸らしてしまった。
…だって、ゆかちゃんに言ったら、鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔させちゃって。
のっちが可哀想なくらい全否定されてたから…。
でも、一緒に居ても気を遣わなくていいから楽で好きだって言ってた。
のっちに言いながら視線を戻すと…。
何でニヤケてるのさ!
それをあたしに指摘されて、焦りだすのっち。
あたしはちょっと拗ねた振りをして、またふいっと横を向いてみる。
なのに、のっちはまたあたしが照れるようなことを言う。も〜、顔が熱いじゃん。
だからまた…ばか。って言ってしまって、のっちがまた情けない顔してるかと思ったら。
ニヤケてる……。
そこで、ふと手に持ってる携帯が目に入って、その表情ののっちを携帯で撮る。
それを「ゆかちゃんに送っちゃおー。」って言うとすごい焦ってるのっちが可笑しい。
でも…送らないよ?
これは、今日の記念にあたしだけが持ってるんだから。
それから…もう一枚。二人の写真も。
ちょっと緊張気味の二人の顔も、いつか懐かしいね〜なんていう日がくるのかなぁ?
ようやくゆかちゃんに電話のコールをする。
『まさか、今日報告がくるなんて思ってなかったよw』
「公園にのっちが居たもんだから…言うなら今かなって…。」
『お願い聞いてくれて、ありがとう。』
「そんな、お礼なんて…。あたしの方がありがとうって言わなきゃ。それに、先に告白してきたののっちだし。」
『えっ!それホント?』
「う、うん。」
『へぇ〜、あののっちがね〜。あぁ、それほど惚れてたってことかねぇ?』
「ゆ、ゆかちゃんっ。」
思わず、のっちの告白を思い出して、顔が熱くなる。
『へへっ。でも、ホントのっちで良かった。』
「…うん。」
少し、無言になったゆかちゃん。でもすぐに。
『…あ〜ちゃんの初ちゅ〜は、のっちのものかぁ…。』
ぬぁあ!
「な!なに言ってんの!」
ばかばかばか!そんなこと言われたら、のっちの顔見れないじゃん!
『な〜んちゃってぇw』
「もぅ…ゆかちゃんのぃじわる…。じゃあ、のっちに代わるからね?」
のっちがゆかちゃんと話し始めて、しばらくするとなんだか楽しそうで…。
ちょっとだけ拗ねてみると、ゆかちゃんに報告されてしまって。
…それはしなくていいのにぃ。
そしたら、ゆかちゃんに呼ばれて、のっちと一緒に携帯に耳をくっ付ける。
この時は全然気にしてなかったのに、ゆかちゃんが残した質問。
『…その携帯が切れた後、くっ付いてる二人はどうなるでしょうか〜?』
その後急に意識しだして、本当に切られた携帯を挟んだまま、あたし達は動けなくて。
そして、ゆかちゃんのさっきの言葉を思い出す。
『あ〜ちゃんの初ちゅ〜は…。』
ホントにもう、ありがた迷惑なんだから…。
でも、それを喜んでいる自分もいるわけで…。
すごくドキドキしながら、携帯を持つのっちの腕に手を掛けると、ゆっくりと二人の間を隔てていた携帯が下りていって。直でのっちの体温が伝わってくる。
のっちを呼ぶけど、耳まで真っ赤になってこっちを向いてくれない。なんか可愛ぃ。
でもそれじゃあ進まないから、ちょっと強引にこっちを向かせて、おでこを当ててみると、薄っすら汗がにじんでるくらいのっちの顔が熱いのが解る。
そんなのっちが愛しくてしょうがない。
だから、のっちに質問の答えは?って言うだけで、全身が心臓みたくドコンドコンいってる。
ずっと視線を彷徨わせてたのっちが、ふっと視線を合わせてきたから、思わず逸らしそうになっちゃって…。
でも、やっぱりその瞳に囚われてしまい、そのままのっちの答えを待つ。
「キス、しちゃうとか?」
答えてくれたのっちの言葉に嬉しくなって、あたしもそれに同意するけど、なんせ初めての事でどうしたら良いか分かんない。
のっちも…初めてかなぁ?でも、のっちモテそうだし…。
なんて、つまらない事が思い浮かんじゃったけど。
今あたしの目の前にいるのっちをそっと呼んでみると、のっちの動く気配がして、あたしもそれに合わせて動き出す。
自分の唇にありったけの想いを込めて、初めてのっちの唇に触れる。
ちゃんと届いたかなぁ?
すぐに離れて、恥ずかしくて下を向いてたらのっちに呼ばれて、照れくさくて笑いあう。
もう一度、今度は少し落ちついた口調で名前を呼ばれて。
「これから、宜しくお願いします。」
なんて、ソレなんの挨拶?ちょっと可笑しかったけど、それは、あたしも同じ。
「こちらこそぉ。」
って笑いながら言うと、さっきよりも自然な動きで、どちらともなく短いキスをした。
奇跡みたいなこの幸せが、ずっと続く事を祈って。
のっち?
色々あったけど、これからは、一緒にいてね?
—その12〜14(終)の場合—
<気になる子>Side A
fin
最終更新:2009年03月30日 00:25