〔N〕
あ〜ちゃんの優しさにふれて、改めて自分の情けなさに気付いた。
もう本当に終わりにしたい。気持ちのない行為は寂しさが募るだけだ。
気付いたのが遅すぎた。
私は手当たり次第遊びほうけていたから、それを清算するのも時間がかかる。
でもその間にもあ〜ちゃんの優しさが私を包みこむ。
あ〜早く終わりにしなきゃ。全部全部全部。
『最初からなんもなかったでしょ?』
何度も言っては泣かれた。
正直泣かれると困る。
どうしていいかわからなくなるから困る、とかじゃなくて。
女の子の泣いてる顔が好きだから困る。
泣いてる顔を見るのが好き。自分に溺れて泣いてるなんてドキドキするじゃん。
なんて、意地悪な感情が頭の中を染める。
だから泣かれると困る。
抱き締めたくなるから。
だから精一杯おさえて、
精一杯優しくする。
最後に優しくすれば、変な波風立てられなくてすむの知ってるから。
彼女たちの中のいい思い出ですむから。
追ってこられたら困るし。
だから精一杯優しく触れる。優しい声で言う。
『のっちには勿体ないから、、いい人見つけて?幸せになって?』
はい。これでおしまい。
もう会いません。
身辺整理ももうすぐ終わる。そうしたらあ〜ちゃんにやましい気持ちを持ちながら会わなくてすむ。
本当にただそれだけのために片付けている。
——じゃぁ今まではなんだったんだよ、のっち?
自分に聞く。
ん〜わからん!!
だけど寂しさを埋めてくれた彼女たちにも感謝はしてる。もちろんそれが意味のないことだって気付かせてくれたあ〜ちゃんには一番感謝してる。
あ〜ちゃんといると自分がきれいになっていく気がした。
——よしっ!!あとは・・・。
・・・ゆ、ゆかちゃん・・かぁ・・・。
———ドクンッ!!!!!
えっ!!?
心臓辺りが痛い。
(なんだこれ!!??)
急だな、、。
ふぅ。。深呼吸をひとつ。
どうした?のっち?
ゆかちゃんにも、、。
ゆかちゃんにも言わなきゃいけんの、、か、、。
なぜか無性に寂しくなった。
本当なんだこれ!?
ゆかちゃん。。
ゆかちゃんとも
離れないけんの・・・??
〔A〕
のっちは変わった。
いや、表面的なところは変わってない。今までと一緒。いつでも優しい。
だけど、、。私は気付いた。のっちは前みたいに遊んでない。手当たり次第っていうのかな??見てわかっていたけど、多分今はそれがなくなった。
どうして?喜んでいいのかな?
〔N〕
自分がいったい何をしたいのか。何を考えているのか。自分が一番わかるはずなのに、何もわからない。
ただわかるのは、あ〜ちゃんと一緒にいたい。
これは何?この感情は何?
そしてわからないのは、ゆかちゃん。離れたくない。
これは何?この感情は何?
頭の中で二人の二つの感情が渦をまいて、悲鳴をあげる。これは何?この感情は何?お願いだから誰か教えてよ・・。
でも誰にも言えるわけなんかなかった。
だって私には相談できる友達なんかいない。
いつだって独りだから。
〔K〕
はぁ。仕事いきたくないなぁ。のっちには会いたいけど、話をしたら、その流れで別れ話になるかもしれんし。重い足取りで仕事に迎う。
——『おはようございます』無理に元気を出した。
『あ、おはよ〜早いね〜』
スタッフさんと挨拶をかわす。
『あ、めずらしくのっち一番乗りだよ〜WW』
一瞬どきっとした。
『・・あ、そ、うなんですか?めずらしいこともあるんですね〜』
あ、噛んじゃった。動揺したのばれてない?よね?
控え室のドアをあける。
(っつ!おもっ!!)
重いドアが力のぬけた手から離れる。
爪がひっかかる。
『痛っ!!』
思わず声をあげてしまった。部屋の中からばたばたと音が聞こえてくる。
と、思ってたら。
——ギィィ。
『大丈夫?』
ドアをあけてくれたのはのっち。
『・・あ、うん・・』
それしか言えなかった。
『・・そ?』
入んなよって顔してゆかを見る。
ゆかに気付いてドアをあけにきてくれた。
それが嬉しくてお礼を言うのも忘れて控え室に入った。鞄をおいて椅子に座る。のっちは多分奥のソファに座っていたんだろうな?勇気がなくてソファには座れなかった。
上着を脱いで横の椅子に置く。
のっちはドアを閉めて静かに戻ってくる。
その途中のっちは無言でゆかの上着を手にとる。
『え・・?』
ぽかんとしてるゆか。
『へ?あ、あ〜しわになるといけんから』
サラっと言いながらハンガーにかけてくれた。
(な、な、な、なんでそんな優しくするんよ!!!)
多分のっちにとっては何でもないような優しさなんだけど。女の子はそうゆうのがドキドキするんだって!!
気付いてやってんの!?
そんな器用ではないよね??
『ん?どうしたん?』
考えてたら急にのっちの顔が近くにあった。
『・・なんか元気ないん?』
のっちが覗きこむ。
『ん?』
不安そうな八の字眉で聞いてくる。
のっちが心配してくれてる。なんか嬉しい。あなたのことで悩んでるんですけどっ!!
だけど心配させちゃ悪いよね。
『ん、なんもないよ。大丈夫。ありがと!』
精一杯あかるく言った。
のっちは一回顔をしかめてから
『・・ん、そっか!ならよかった』
優しい顔してそう言った。
やばい。
やばい、やばい、やばい。
最近のっち不足のゆか。
こんな会話で心臓がうるさいくらい鳴ってる。
顔が熱い。手に汗が滲む。
そんなゆかにのっちは追い討ちをかける。
『あんまさ、、そんな切ない顔見せんでよ?』
(っつ・・・なにそれ!!?)
『こっちまで切なくなるってゆうか、さ?
ん〜儚い?あ、そうだそう!うん。儚げな顔しよる』
優しい顔してゆかをドキドキさせる。
『って、、な、なぁ〜に言いよるんよ、も〜』
下手くそな照れ隠し。
『ん?綺麗だって言ってんだよ?』
ふって笑う。
(・・っつ、、何でそんなことゆうん!!?)
顔が熱い。
優しい目でこっちを見ている。
感情が洩れそうだ。
沈黙が痛い。
何も言えない。
破ったのは・・・・のっち。
『綺麗だよ。』
あ、何か外れた。
最終更新:2009年03月30日 00:45