「…子供が、知らない…事…」
「そう。大人しか知らない……イイコト」
ゆかちゃんは微笑んだまま、握っていたあたしの手を目の前に持ってきた。
「…こうしたら、あ〜ちゃんはゆかにイイコトしてくれる…?」
ちゅ、とあたしの指がゆかちゃんの唇に含まれた。
「ちょ、ゆかちゃ、ん」
「ふ…、っ」
ちゅうちゅうと指が吸われ、たまにぬるりと紅い舌が這う。
「…っ、ゆかちゃん、駄目だよこんなの…」
「ぁふ…なにがだめ…?」
唇が離される瞬間、透明な糸があたしの指とゆかちゃんの唇に架かった。
その光景に、背中にざわざわとした何かが這い上ってくる。しかし、それをムリヤリ理性で押さえ込んだ。
「こういう…事、だよ…」
「…じゃあ、こうしたらいいの…?」
「わっ、」
彼女に手を引っ張られて、体が倒れそうになる。慌てて両手をついて体を庇った。
…その先には。
「…あ〜ちゃん…ゆかの事、大人にしてよ…」
「ゆかちゃん…」
押し倒されたようなゆかちゃん。
潤んだ瞳と紅潮した頬、小さく開いた唇。そのどれもが、あたしを誘っている。
…眩暈、しそう…。
甘い、甘い匂いに頭の中がぼんやりと霞む。
「あ〜ちゃん…」
甘い声。
「ねぇ…ゆかにさわってよぉ…」
甘い誘惑。
心臓の音が煩い程鳴っている。
自分、という感覚が曖昧になっていく。
「……いい、よ…」
多分、理性はもうない。
最終更新:2009年03月30日 00:56