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カーテンから差し込む日差しで目が覚めた。
当然の如く部屋にのっちは居なくて、でもそれで良かった。
鏡を見なくても解る、自分の顔が涙でグチャグチャになってる。
そんな顔見られたくないし…。
急いで階段を下り、脱衣所に逃げ込む。
「うわ〜」
鏡の向こうの私は思ったより酷かった。
目は腫れ、充血してる。
こんなに泣いたんだ…。
顔を洗い、目を冷やして見たけれど治らない。
「ん〜」
鏡とにらめっこ。


「綾香お嬢様?」
いきなり扉越しにのっちの声がして、思わず動揺。
「な何っ?のっち!」
「どうか、なされたんですか?」
開けますよ〜とのっちが扉を開けようとした。
「ダメ!」
すかさず、ドアノブを握り抵抗。
「な!何でですか!?」
何でですかじゃないよ!
察してよ!
のっちのせいでしょ!
「駄目なもんは駄目!」
「着替えてるんですか?違うでしょ!気分でも悪いんじゃないんですか?」
「違う!」
「嘘です!声おかしいですよ!」
「それは…「ほら、開けて、、下さい!!」
それでも開けようとするのっちに負けて、扉が勢い良く開いた。
「んが!!」
そして、のっちのおでこに直撃。
「いっっっっつ…」
おでこを押さえ、蹲るのっち。
「アホ…」
俯いていたのっちが顔を上げる。
涙目のっちと目があった。
「っ…綾香お嬢様…」

解ってる…
酷い顔してるでしょ?
私はのっちに背向けた。
「…ごめん」
「何で、謝るんです?」
「…」
「とりあえず、目…冷やさないと」
そう言うと、のっちは立ち上がり私の手を引いてリビングへ連れて行った。


「少し、冷たいですけど」
のっちは濡れたタオルに氷を巻いて、私の目に被せてくれた。
「…ごめんね」
「どうして謝るんですか?」
「昨日、、、泣いちゃったし…」
「そんなこと…」
私はタオルを押さえてくれているのっちの手をそっと握った。
「綾香お嬢様」
「今だけ…今だけで良いから…」

今日の午後には元に戻ってしまうとしても、、、
「あ〜ちゃんだけの執事でおって」
それがたとえ、ほんの束の間の夢でも良いから。
「…綾香お嬢様」
「おねがい」
それがたとえ、どんな優しさでも良いから。
「…はい」

そして、のっちはそっと抱きしめてくれた。

私の気持ちも、涙の理由も、
のっちは知ってたんだね。

私の気持ちを知っていても、のっちは今まで通りに接してくれてたんだね。
それを知れて、そののっちの優しさに触れられて、私はそれで充分だよ。


「のっちはさぁ…」
「はい?」
「ゆかちゃんのこと好き?」

朝食後のティータイム。
別に試したとかじゃなくて、素直にそう思った。

「な!何ですか!?いきなり」
「んんー…なんとなく」
「…」
「どうなん?」
「…す、、、好き、、です、、、よ?」
うわ〜、顔真っ赤www
「そっか、そっかwww」
「綾香お嬢様?」
「…良いよ。あ〜ちゃんは、ゆかちゃんものっちも大好きだから」

私の執事にならなくても良い。ううん、ならないほうが良い。
だって…
ゆかちゃんの事に一生懸命になってるのっちが好きだから…。

時計の針はもうすぐ7時半を指そうとしている。
そろそろ終わるこの夢に未練は無いよ?
「ありがとね、のっち」
「…はい」

ほら、ゆかちゃんが乗った車の音が聞こえてきた。






最終更新:2009年03月30日 01:12