さて、勢いよく走り出したものの…あ〜ちゃんがどこにいるのかわからない。
今日の仕事の現場からあ〜ちゃんちまでは結構距離があるから、真っ直ぐに帰ってたとしてもまだ家には着いとらんだろうし。
…そうだ、電話してみよう!
そう思い、バッグにしまい込んでいた携帯を探す。
だけどバッグの中は物が散乱していて、なかなか目当てのものを探り当てることが出来ない。
こんな時、自分のテキトーで大雑把な性格を呪いたくなる。
やっとの思いで携帯を取り出し、アドレス帳を開く。
あ〜ちゃんの名前を発見すると、小さく深呼吸をしてから通話ボタンを押す。
お願いだから出て———
5コール目で、電話は繋がった。
「もしもし」
「……」
「あ〜ちゃん今どこおる?」
「……」
「あ〜ちゃん?」
「……」
返事がない。
やっぱり怒っとるよね。
傷付けちゃったよね…。
どうしよう、謝りたいのに言葉が出てこん。
眉がみるみる八の字になってくのが、自分でもわかる。
「のっち」
「は、ひゃい!」
受話器の向こうからようやく声が聞こえたことに安堵する、と同時にビックリして変な声が出た。
「…ゆかちゃんと2人きりになりたかったんじゃろ?あ〜ちゃんに電話しとる場合なん?」
「ぁ…、ぃや、、」
「のっちとゆかちゃんがそういう関係だったの…知らんかったけぇ、もう邪魔せんから」
受話器ごしに聞こえるあ〜ちゃんの声は小さく震えていた。
なにやってんだよ、のっち。
早く誤解解かなきゃ。
違うよ、のっちが好きなのはあ〜ちゃんだけだよって。
そう言ってあ〜ちゃんを安心させてあげなきゃ。
「あ〜ちゃ…「でも!」
そう言おうと口を開いたら、あ〜ちゃんに遮られた。
「でも……時々はあ〜ちゃんとも2人で会ってほしいけぇ」
「邪魔は絶対せんから…っ…お願い……」
消え入りそうなか細い声でそう懇願する彼女に、何かが外れた。
最終更新:2009年03月30日 01:25