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「あぁぁぁ・・・・」
授業中にも関わらず、あたしは机に寝そべる。
「ちょっ、のっち、寝ちゃダメじゃよ。えっ!!どうしたの?すんごい顔青白いけど・・・」
「え〜・・・・」
あ〜ちゃんにおでこを触られた。
「もしかして、風邪引いた?」
「う〜ん・・・もしかすると、そうかも?」
実は朝から身体の節々が痛くて、震えが止まらない。
まさか、あの時の雨の影響が今頃出るなんて思ってもみなかった。
「熱測った?」
「家に、体温計ない・・・」
「え・・・ダメじゃん。医務室行って体温計借りてこよ!」

ピピピ・・・。38.5℃。
「のっち、これヤバいよ・・・。早く病院行こう!」
「あ〜、そうだね。でも注射とか打たれるのかな・・・。嫌だな・・・」
「そんな子供みたいな事言ってる状態じゃないじゃろ!下手したら肺炎でもこじらして入院とかになっちゃうよ!!」
あ〜ちゃんは、本気で心配してる。

あたしはあ〜ちゃんに付き添ってもらって、近所の内科病院に行った。
診断してもらった結果、薬だけもらった。注射はしなくて済んだ。よかった。

「あ〜ちゃん、ごめんれ〜。授業サボって付き添ってくれて・・・」
「こういう時はお互い様でしょ。それにのっち、一人暮らしだし・・・」
あたしはスウェットに着替えて、暖かいベットに入る。
「のっち、薬、薬!!」
あ〜ちゃんは、病院から処方された薬と水が入ったグラスを渡してくれた。
あたしは薬を飲んで、目を瞑る。
あたしが眠りにつく間、あ〜ちゃんは頭をなでてくれていた。


「ん・・・・」
なんだか妙にスッキリした気分で目が覚めた。
外はもう暗くなってる。
時計を見ると18時すぎ。
えっ?何時間寝てたんだろ?逆算しようとしたけど、そこまで頭は回らなかった・・・。
大学か家に戻ったのかな?さすがに、あ〜ちゃんの姿はナシ。

あぁ、寝汗がすごい。
軽くシャワーに入ることにした。
シャワーを浴びて、お腹が空いたから冷蔵庫を覗くと醤油とお茶と水しか入ってなかった。
えー、どうしよ・・・。食べるもんねぇよw。醤油なめとく?
困ってたら・・・

ガチャ。
玄関のドアが開く音がした。
えっ!?だ、誰?泥棒??
あたしは内心すごくドキドキしながら玄関へ向かうと、そこには帰ったはずのあ〜ちゃん。

「あっ、のっち起きたん?」
「えっ?あ、あ〜ちゃん、どしたん?」
「冷蔵庫見たら何も入ってなくてビックリしたから、買い物行ってきたの」
あ〜ちゃんの手にはスーパーの袋。

「ありがとう・・・」
あ〜ちゃんの優しさが身に染みた。
「体温計も買ってきたから、測ってみて。今、お粥作るから待っとって」
手渡された体温計で測ったら、36.9℃だった。



「あ〜ちゃん、スゲー!見て見て!!薬飲んで寝ただけなのに、もう微熱になっちゃったw」
お粥を作ってくれてるあ〜ちゃんに体温計を自慢げに見せる。
「よかったね。でも油断しちゃダメじゃよ。暖かくしとらんと、またぶり返すけぇ」
あ〜ちゃんは太陽みたいな優しい笑顔でしゃべってる。
あたしはそれがすごく愛おしくなって、思わず後ろから抱きしめてしまった。

「の、のっち!?」
あ〜ちゃんは驚いて、オタマを落とした。
オタマが落ちた音であたしは我に返る。
「あっ!!ご、ごめん。や、な、なんでも、ないから、ふ、深い意味はないから」
あたしは噛み噛みになりながら、必死にさっきの行動を否定する。

「・・・うん。お粥出来るまで座っといて」
そう言ったあ〜ちゃんは、どことなく悲しそうだったのは気のせい?

「いただきま〜す・・・アヂッ」
お粥で舌を火傷した。
「え〜、のっち猫舌?」
「いや・・・たぶん違うと思うけろ」
「ちゃんとフーフーしなきゃダメよ?」
あ〜ちゃんはレンゲを取り、文字通りフーフーしてあたしの口元にそれを持っていった。
あたしは迷わずそれを口にした。

ヤバイ、これは、ヤバイ・・・。
あ〜ちゃんに食べさせてもらうなんて・・・。
心臓バクバクだよ。しかも今日は一段とあ〜ちゃんが可愛くみえるんですけど・・・。

「あっ、そう言えば今日かっしー、学校にいなかったよね?」
「・・・うん。バイト仲間と日帰りで旅行行ってるみたい」
「え〜、堂々とサボりかよwかっしー、スゲーw」


「そうだ、あ〜ちゃん、門限平気?たしか20時だったよね?」
時計は19時半を指す所。
「うん、でも今日は大丈夫・・・」
「へ?そうなの?何で?」
「・・・だって、風邪引いてるのっちを一人にさせれんよ」

あ〜ちゃん・・・そんなコト言っちゃダメだよ。
その優しさは、今のあたしには鋭い刃物でしかないんだ。
優しくされればされるほど、あ〜ちゃんの想いが大きくなって心が切り裂かれる。

「そ、そうなんだ。あ、ありがとうね。でも、もう大丈夫よ。微熱になったし・・・」
「・・・帰れってコト?」

そんな悲しそうな顔をしないでよ。
抱きしめたくなっちゃうじゃないか。
これ以上一緒にいると、絶対オカシクなる。
あたしの理性はもう許容範囲ギリギリ。

「わ、悪いけど・・・」
本心じゃないけど、こう言わなきゃ取り返しの付かないコトになるから。

あ〜ちゃんは何も言わないかわりに、ポロポロ涙を流し始めた。
そして、コートとカバンを持って玄関に行った。

あたしはあ〜ちゃんの涙を見て、何か外れた。


玄関で靴を履いてるあ〜ちゃんを、また後ろから抱きしめた。
「行かないで・・・」
あ〜ちゃんの涙はまだ止まっていなかった。

「ずっと・・・好きだった」

あたしはとうとう絶対開けてはならない、パンドラの箱を開けてしまった。

「だから今、一緒にいると自分が、あ〜ちゃんに何しでかすかわからんの。
もう、あ〜ちゃんへの気持ちが抑えきれんトコまできてるから、帰れって言っちゃったんだ」
あたしは言い切った次の瞬間、とんでもないコトを言ったと思い、あ〜ちゃんを抱きしめてる腕を放した。
あ〜ちゃんは身体を180度回転して、あたしと向かい合う形になった。

あ〜ちゃんと、目が合う。
「あ・・・ごめん。キモかったよね・・・。忘れていいから」
あたしはさっき言ったコトを、全否定する。

「キモくないし、忘れたくない・・・。」
「え?」
「・・・あ〜ちゃんも・・・好き・・・なの」
ウソ!冗談でしょ!?って思ったけど、あ〜ちゃんは真剣な眼差しだった。

その眼差しに導かれて、あたしは吸い込まれるようにあ〜ちゃんの唇に自分の唇を合わせた。







最終更新:2009年03月30日 01:34