Side N
待ち合わせ場所には、すでにゆかちゃんが待っていた。
ゆかちゃんは隣にいるいつもの執事さんと楽しそうに話している。あの二人って仲良いよね〜。
執事さんはあたしたちの姿を確認すると、それでは。と言って車に乗り、その場を離れる。
「ゆかちゃんお待たせ〜。」
「あぁ、全然待っとらんよ?」
「あ、そ?」
「うん。あやちゃんも久しぶりw」
ゆかちゃんは、あたしの後ろにいたあやちゃんに手を振り声を掛ける。
「はい。お久びりです。ゆか様。」
「あやちゃん、また『様』って言っとるぅ。ゆかちゃんでえぇよってw」
「はぁ。しかし、『様』の方が呼び易いので…。」
「だ〜めっ。ゆかと居る時は『ゆ・か・ちゃ・ん!』だよ?」
「あ、は〜…。」
少し困ったようにあたしの方へチラッと確認をしてくるあやちゃん。
「んん、まあ、呼びやすいのが一番だけど、一人くらいそういう相手がいても良いんじゃない?」
「ね?ね?のっちもああ言っとるしw」
「…分かりました。それでは…ゆか、ちゃん?」
ぷはwすんごいぎこちなwでも初々しくて良い!
「やはり、可笑しいでしょうか?」
つい笑ってしまったあたしに訊ねてくるあやちゃん。
「あwぃやあ、なんか微笑ましくてつい。可笑しくないから、大丈夫。」
「そうそう平気平気。そのうち慣れるって。ね?あやちゃん?」
ぎゅってあやちゃんに抱きつくゆかちゃんに、戸惑い気味のあやちゃん。
「…は、いぃw」
「よし!じゃあ、お店見て回ろ〜ぅ♪」
あやちゃんの手を引いて、元気良く歩き出すゆかちゃん。
って!あたしを置いてかないでよぉ!
あたしたちは、小物雑貨の店がたくさん並んでいる通りを歩いていく。
「うぁ〜…すご〜い…。」
あやちゃんは、どうやらキラキラふわふわヒラヒラした物が好きだったみたいで。
ずっと目をキラキラさせながら、見ている。
「あー!ゆかちゃんゆかちゃん!アレ見てください!すごく可愛いです!」
「わ、ホンマじゃぁ。ちっちゃくって可愛いw」
ゆかちゃんを呼ぶのもだいぶ慣れたかな?
うん。やっぱ、ゆかちゃん居てくれて良かった。
こういうアクセサリーとか、好きだけど、ちょっと好みが違うみたいだから。
ゆかちゃんとの方が合っているみたいだから、話も盛り上がるでしょ。
ぴょんぴょん跳ねるみたいに楽しそうなあやちゃん。
なんかウサギさんみたいw
「のっちのっち。見て見て?コレあやちゃんにぴったりと思わん?」
そう言いながらあやちゃんをあたしの方へと、寄せてくるゆかちゃん。
なんだか恥ずかしそうにしているあやちゃんの首元で、小さなピンクのハートが揺れた。
「ちょっとのっち。何か言いんさいよ。」
あまりにも可愛くて言葉を返すのを忘れていた。
「おぅ…。可愛いっす…。」
「それだけ?」
「だって、マジ可愛いし。他に言葉が見あたらん。」
むしろ恥ずかしがってるあやちゃん可愛い。家じゃこういう顔せんもん。
「ソレのっちっぽいわ〜。」
「はい。綾乃様らしいです。」
二人で顔を見合わせて笑い出す。もう、あやちゃんまで〜。
三人でだいぶお店を回って、ちょうどお昼の時間だしどっかでご飯でも。
そう思って後ろを歩いている二人に声を掛けた…。
つもりだったけど、
あれ?いない。
立ち止まって歩いた道を振り向くと、少し後ろでゆかちゃんがきょろきょろしていた。
「のっちぃ、ごめん。どうしよ。あやちゃんとはぐれちゃったぁ。」
近づくあたしに気付いて、ちょっと泣きそうなゆかちゃん。
「ん〜、ま、大丈夫だと思うけど。」
「けど、あやちゃん外は慣れてないじゃろ?変なのに声掛けられたりしたら…。」
「それは困る。」
想像すると腹が立つ。
「ちょっと、戻って探してみよ?」
「うん。」
ゆかちゃんと一緒にあやちゃんを探しに戻る。
Side A
どうしましょう…。お二人とはぐれてしまいました。
歩いている途中で、ショーウィンドウから見えるキラキラに惹かれまして、ふと足が止まってしまい。
しばらく見入っていたら、お二人を見失ってしまいました。
「ねぇねぇ、君ひとり?」
後ろから男性に声を掛けられ振り向くと、三人の方が立っていて。
「いえ。お二人とはぐれてしまいまして。」
「え。まじで?俺ら一緒に探してあげるよ。」
ニコニコされているんですけど、なとなく嫌な感じです。
「ありがとうございます。でも大丈夫です。一人で探せますので。」
歩き出そうとすると、遮られてしまい。
「そんなこと言わないでさ。人数多いほうが探しやすいでしょ?」
「…お二人のことご存知ないのに、探せないんじゃないですか?」
「じゃあ、二人の名前教えてよ。そしたら探せるじゃん。」
「お名前ですか?」
「うん。そうそうw」
「…彩乃様とゆか様です。」
探して頂けるならと、お名前を教えたのですが、目の前の三人はびっくりしたように顔を見合わせて。
「え。君『様』って呼んでんの?」
「今は彩乃様だけですが、なにか可笑しいですか?」
「うっそ!まじかよ。その彩乃って子なんなの?」
「もしかして、君のご主人様とか?」
「そうですが…。」
なんなんでしょう?探して下さるんではないんですか?
「へぇ〜、ご主人様って男のイメージあるけどな。」
「わっかんねぇぞ?彩乃って子の趣味なんじゃね?」
なんだか、彩乃様の話していますけど。腹立たしいんですが…。
「ねね。俺らも『様』って呼んでみてよ?」
「嫌です。」
「いいじゃん。減るもんじゃないでしょ。」
グイッと腕を掴まれ、ついカッとなってしまい。
「私のご主人様は彩乃様だけです!」
相手を睨んで、叫んでしまいました…。
と同時に後ろから引っ張られ、掴まれた手が離れて、ぎゅっと誰かに抱きしめられてしまいました。
「悪いんだけど、この子、あたしのメイドさんだから。変なちょっかい出さないでくれるかなぁ。」
この声は…。
声のした方へ顔を向けると
そこには彩乃様のお顔があって。
「ね?あやちゃん?」
私は嬉しくなって、満面の笑顔で返事をしました。
Side N
あやちゃんの後姿をみつけたけど、その向こうに男三人があやちゃんに話しかけてる。
なんだ?あいつら。
腹立たしく近づいていくと「様って呼んでみてよ?」ってふざけんじゃないよ!
一発殴ってもおかしくない勢いで近づいていくと、
「私のご主人様は彩乃様だけです!」
なんて、嬉しいこと言ってくれるじゃん。だからあたしも。
男に掴まれてるあやちゃんを後ろから引き剥がして、自分の腕に収めてから。
「悪いんだけど、この子、あたしのメイドさんだから。変なちょっかい出さないでくれるかなぁ。」
「ね?あやちゃん?」
そう言うと最高の笑顔で「はい♪」って返事をしてくれた。
思わずドキッとしてしまった。
—つづく—
最終更新:2009年03月30日 18:20