あ〜ちゃんの唇は柔らかかった。
唇を離し、涙を拭ってあげる。
あ〜ちゃんは照れくさそうにハニカんでる。
「あ〜ちゃん、帰らんで・・・」
首を縦にふるあ〜ちゃん。ひとつひとつの動作がイチイチ可愛い。
あたしたちはベットに座る。
「あ〜ちゃん、好きって言ってくれてありがとう。のっちはその気持ちだけで充分嬉しいよ。
あ〜ちゃんと一緒にいれるだけで幸せ。だから、えーと・・・だ、大丈夫、何もしないから」
何もしないと言いつつ、咄嗟にキスはしちゃったんだけど・・・。
あ〜ちゃん、緊張してるみたいだし安心させてあげないとね。
「初めてだったんだけど・・・キス」
「えっ!?マ、マジで・・・ごめん・・・」
あたしは反射的に謝ってしまった。
あ〜ちゃんのファーストキスを奪ってしまった。
ということは、あ〜ちゃん今まで付き合った事ないってこと?
「あはは。なんで謝っとんの?別に謝る事じゃないけ・・・」
「あっ、ごめん・・・」
「あ〜、まーたー謝るーw」
なんだか、あ〜ちゃんの緊張が和らいでる感じがする。
「・・・19歳でキスがまだって、やっぱり遅いよね」
「そ、そんな事ないよ!何歳でとか、早いとか遅いとかじゃなくて、誰とするって事の方が大事だと思う!」
「ありがとう・・・。のっちが初めてのキスの人で良かった」
ヤバイ、その言葉で嬉しくて泣きそうだ。
「もう一回・・・してくれる?」
あ〜ちゃんの顔は赤く染まってた。
「・・・うん」
あたしはあ〜ちゃんの手を握り締め、最初よりも少し長い二度目のキスをした。
「ん・・・」
あ〜ちゃんから、吐息交じりの声がかすかに漏れた。
あたしの耳はそれを聞き逃さなかった。
それを聞いて、無性にあ〜ちゃんを抱きしめたい衝動に駆られる。
あ〜ちゃんをこの手で気持ちよくしてあげたい。満たしてあげたい。
でもそれとは逆に、この太陽のような純真無垢なあ〜ちゃんを汚してしまっていいんだろうか、と葛藤するもう一人の自分がいる。
あたしの欲望で乱してしまっていいんだろうか。
一線を越えて、あ〜ちゃんに後悔をさせないだろうか・・・。
「あ〜ちゃん、ごめん・・・。さっきは何もしないって言ったけど、このままこうしてると、その約束は守れそうにないけ・・・」
たぶんあたしは今、ハノ字眉になってるはず。
「・・・また帰れってコト?」
「ち、違う違う!そう言うんじゃなくて・・・あ〜ちゃんに後悔させちゃうかもしれんから・・・」
「コウカイ?」
「・・・うん。後悔・・・」
「のっちは、あ〜ちゃんのコト好きって言ってくれたでしょ?」
「う、うん・・・」
「あ〜ちゃんもそれがすごく嬉しかったんよ・・・」
「・・・」
「後悔を恐れてたら、どこにも行けないけぇ。あ〜ちゃんはのっちとならどこへでも行けると思うの」
「・・・あ〜ちゃん」
「のっちは、いつかあ〜ちゃんのコトを”太陽”って言ってくれたよね」
「うん」
「でも、あ〜ちゃんはそんなスゴイ子じゃないよ。ただの19歳の普通の女の子だよ・・・ただのっちが好きなだけ」
あ〜ちゃんは優しい顔で、あたしのハノ字眉を指でなぞってる。
あたしはあ〜ちゃんに絶対触れるコトは出来ないと思ってた。
だって、あたしは月。太陽の彼女に照らされるコトはあっても、距離は絶対に縮まらないと思ってたから。
でもあ〜ちゃんは今、目の前にいるんだ。
手を伸ばせばすぐ届く距離にいる。
ずっとずっと触れたかった人が、あたしを好きと言ってくれてる。覚悟を決めてくれてる。
あたしも後悔を恐れないことを決めた。
「あ〜ちゃん、ありがとう・・・。すごく嬉しい。大好きだよ・・・」
そう言って、あたしはあ〜ちゃんの身体をベットに優しく倒した。
あ〜ちゃん、この航海はもう来た道に帰れなくなるけどいい?
目的地も決まってないし、どこへ行くかもわからないけどいい?
でもあたしは、ずっとあ〜ちゃんのそばにいるよ。
何が起きてもそばにいるよ。絶対に守るよ。
だから恐れないで一緒に、この航海へ出よう。
最終更新:2009年03月30日 18:31