だんだん帰りが一緒ってだけで満足できなくなってきた。
下足室で会うとか廊下で会うとか、そんなんじゃ物足りなくて。
自然とあ〜ちゃんの教室に遊びに行くようになっていた。
『またのっち来とるよー』
何度か遊びに行くうちにあ〜ちゃんの友達と友達になれた。
のっちの姿を見かけたその子はあ〜ちゃんに呼びかける。
あ〜ちゃんがこっちを見る。
その顔を見ると胸が一杯になった。
「あんた最近よく来るねぇ」
「へへぇー」
「ゆかちゃんがおるじゃろ?」
「おるけど…」
『あ〜ちゃん、なんでのっちがよく来ると思うんだっけ?』
「そりゃー…のっちがあ〜ちゃんのこと好きじゃからじゃろ」
あ〜ちゃんの発言に脈が速まる。
なんで。
のっちの気持ち知っとるん?
たぶん顔紅いよ、自分。
一人焦っている中、周りの子たちは笑っていて。
『あ〜ちゃん、それ自意識過剰だから!』
「そう?やっぱり?」
あ〜ちゃんも一緒になって笑ってて。
冗談なんだって安心する。
「そうそう、自意識過剰だって」
自分に言い聞かせるようにあ〜ちゃんに突っ込む。
「なんでじゃろ。のっちには言われたくないんですけど。」
あ〜ちゃんのいつも通りの返しに、
「なんでよー」
のっちのいつも通りの返し。
周りがこのやり取りに笑って、さっきのことが無かったように思えた。
自分の教室に戻ると、ゆかちゃんが教卓の前でクラスの皆に話をしていた。
「のっち!はいこの紙持って自分の席着いて!!」
そう言って渡された紙は文化祭でする出し物のアンケート用紙だった。
「えっと、舞台発表の方と屋台の方があるんですけど…」
ゆかちゃんがアンケートの説明をしていく。
舞台発表の演目、屋台は何をするのか。
舞台発表の方は順位が付けられるし、やっぱり優勝したい。
ゆかちゃんの意気込みを聞いて、皆アンケートに色々書き込んでいく。
一通りの説明を終えてゆかちゃんがのっちの隣の席に戻って来る。
「ゆかちゃんって文化祭委員だったんじゃね」
「そーよ。今年は絶対優勝なんだから」
ゆかちゃんが小さくガッツポーズをする。
なんだかそれが可愛らしくて、思わず微笑んでしまう。
「何笑っとるんよ」
「いや、可愛いなと思って」
「どしたん、のっち。ちょっと変…」
「変じゃないよぉ。普通普通」
「いーや、のっち最近やっぱ変わったわ。」
ゆかちゃんは何かしら確信を持ってるみたいで、急にニヤニヤし始めた。
「隣のクラスの人が関係してるのかな?」
「えっ、な、何でよ」
「ふふっ、だって最近すぐに隣のクラスに遊びに行くじゃーん。
隣のクラスに気になる人でもいるの?」
「そ、そんな訳ないじゃろ」
「噛んどるし。信憑性ないなー」
さすがゆかちゃんだわ。
今までどこかのクラスに遊びに行くなんてなかったの知っとるもんね。
これはもう言った方が良いのかな。
「どーなんよ、そこんとこ」
「うー…そうだよ。ゆかちゃんの言う通りで…」
「うっひゃー!ほんまに!?ヤバイヤバイ超楽しー」
「楽しまないでよ」
「いいじゃん、のっちの恋とか超楽しーし!あ、あ〜ちゃんに報告しよ」
そう言ってゆかちゃんは携帯を取り出そうとする。
その手をのっちは制止した。
驚いた顔をしたゆかちゃん。
「待って。」
「えっ…」
「のっちの気になる人はね…」
ゆかちゃん。
のっちはきっとあの時のゆかちゃんの顔、忘れないと思う。
つづく
最終更新:2009年03月30日 18:38