「ふぁぁぁ・・・」
大きな欠伸をひとつ。
昨日はバイト仲間と学校サボって、日帰り旅行。
昨日の夜には家に帰る予定だったけど、みんなのテンションが上がっちゃって、結局カラオケオール。
あたしはカラオケは好きじゃないから、最初は渋ったんだけどむりやり参加させられた。
それでさっき解散して、今やっと最寄の駅に着いたトコ。
始発に乗ってきたから駅にはほとんど人はいない。
外はもやがかかってる。かなり寒い。本格的な冬はもうすぐって感じ。
眠い目を擦りながら自宅へ向かう。
のっちのアパートが見えてきた。
もやでよく見えないけど、アパートの前に人影。
妙に気になって目を凝らして見ると、女の子二人組っぽい。
のっちのアパートの住人は学生がほとんどだから、女の子がいてもおかしくないけど、なんだか変な胸騒ぎ。
「あ〜ちゃん!」
微かにだが、そう聞こえた。
えっ?あ〜ちゃんなの?じゃ、呼んだのは、のっち?
一瞬、何が起きたかすぐには理解出来なかった。
次の瞬間、二人は顔を寄せ合って・・・。
この目で見てしまった。
ドクンッ。
キスした所を。
ドクンッ。
あ・・・あ〜ちゃんがこっちに来る。
あたしは咄嗟に電柱の影に隠れた。
ドクンッ。
急いで家に帰る。
ドクンッ。
何でか足がすくむ。
ドクンッ。
いや、まてよ。もしかしたら自分が見間違えたかもしれないじゃない?
だって、ほら、実際よく見えなかったでしょ?
自分で見た光景を自分で必死に否定する。
ドクンッ。
あたしはこの変な鼓動を抑えきれないまま、学校へ。
ドクンッ。
「あっ、ゆかちゃん。おはよう、どうだった旅行?」
「かっしー、おはよう」
あ〜ちゃんだ。隣にはのっちがいる。
二人は妙に仲良さげな気がするのは気のせい?
ドクンッ。
「あ、おはよ・・・・」
ドクンッ。
「のっち、お茶買ってくるから二人で先行ってて」
「はいはい」
ドクンッ。
「あ〜ちゃん、昨日のっちの家行った?」
「・・・あー、実は昨日のっち熱出しちゃって、送ってあげたの」
ドクンッ。ドクンッ。
「すぐ帰った?」
「・・・うん」
ドクンッ。ドクンッ。
「なに〜?どうしたん?今日ゆかちゃんちょっと変だよ?」
そう言って、あ〜ちゃんは髪をかき上げた。
髪に隠れてた首筋が一瞬見えた。
あたしはその一瞬を見逃さなかった。
ドクンッ。ドクンッ。
そこにはキスマーク。
ドクンッ。ドクンッ。
やっぱり、あれはあ〜ちゃんとのっちで・・・。
ドクンッ。ドクンッ。ドクンッ。
「ゆかちゃん?」
「ごめん・・・。気分悪いから今日は帰る・・・」
ドクンッ。ドクンッ。ドクンッ。ドクンッ。
一番起きて欲しくないコトが起きた。
のっちに・・・あ〜ちゃんの隣を完璧に取られた。
あたしの中で何かが崩壊した・・・。
最終更新:2009年03月30日 19:00