「この街でパワースポットって言ったら、龍宮(たつのみや)神社か」
龍宮神社は地名の由来にもなっている大きな神社で、その名の通り龍神様を祀っている、全国的にみても有名な部類に入るらしく参拝客も多い。
「とゆーかほかにソレっぽいとこ、この街にあるぅ?」
「ないな、俺の知る限りは」
「このサイトにはパワースポットのエネルギーを体内に取り込み過ぎて倒れたんじゃないかって書かれてるね」
「そんなことあるのか?」
「さぁね、わたしにはわかんにゃい」
そういう体質か、などと考えを巡らすが限りなく怪しいサイトに書かれていることを信じるのも馬鹿らしくなった、これらの考察も妄想の域を出ないものばかりだ。やはり自分達でこの事件を調べないと納得のいく答えは出ないだろう、とりあえず七海にクラスメートの事を聞かないと。
「よし、メールでも送るか」
昏睡状態のクラスメートについて教えてくれないかと言う内容のメールを送って一時間くらい後、七海からメールがきた、要約すると。
- 事件が発生したのは昨日の夜8時以前。
- 場所は公園。
- 第一発見者はA子——名前が伏せてあったので仮にA子とする——と同じ星学の女子生徒。
- A子は原因不明の昏睡状態で今も眠っている。
なお事件当日A子は友達と遊んでいて龍宮神社には行っていないらしい。
「なるほど事件現場は公園……行ってみるか」
行けば何かが分かる、行かなければならない、そんな気がした。
多くの人にとってはたったそれだけのことかも知れない、だが俺を動かすにはそれで充分、迷うことなんか何もない。
「五条、情報収集は任せた!」
言って俺は五条の家を後にし公園へと向かった。
最終更新:2017年02月01日 17:13