(11)515 『蒼き正義』

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&br() 「正義ってなんなのかね」 「正義とは組織であります。ダークネスこそが正義。 ダークネスこそが次なる未来の創造主でありうるのです。」 幹部、安倍の発した一言に近くに居た部下が答える。 「次なる未来って言うのは?」 「能力者が頂点となる世界であります」 「それは具体的に?」 安倍は部下を見ずにぽつりぽつりと問い掛けた。 「なっち、いい加減にせぇ」 入り口から大幹部が登場し、その場にいた安倍以外は思わず姿勢を正す。 「別になっち、なにも悪いことしてないもん」 安倍はまるで子供のように口を尖らせて抗議した。 「こいつらが困ってまうやろ?それにあんまそういうことばっか言ってると反乱分子になってまうで?」 大幹部は鋭く安倍を睨む。 「なっちも殺すの?」 それに臆することもなく、安倍は大幹部を睨みつける。 「誰も殺さんよ。特になっちは殺せんよ」 大幹部はふわりと微笑み掛ける。 戦闘にめったに出ない安倍の実力を知る者は多くない。 部下もその一人だった。 一日中、ぼけーっと過ごしている人間の下で働くことを不満に思っていた。 どうせなら後藤や吉澤みたいな戦闘部員と・・。 「うるさい」 空気が裂けた気がした。 部下は安倍に睨みつけられていることに気づいた。 その目も、声色も普段の安倍からは想像もつかないものだった。 部下は思わず萎縮する。 「なっち、あんまいじめたらあかんよ?なっちが好きでやってることやろ?」 大幹部は優しく諭すように言う。 「蒼き正義やで、なっち」 「どういうこと?」 「それは自分で考え。ほな、行くわ」 大幹部は颯爽と帰っていった。 「一番の反乱分子は自分じゃん」 その呟きが聞こえた者は誰もいなかった。 ---- ---- ----

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