(08)546 『Air on G - 1. My Star-』

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あの日、燃えさかる炎の中に立つその人はとても美しかった。




「愛ちゃん待ってよ~。重い~。」

今日は店が休みなので愛とれいなは近所の公園で行われている骨董市に来ている。
骨董と言っても単なるがらくた市をそう名乗っているだけで、別になんちゃら鑑定団に
出てくるようなものはそうそう無い。
ただ、喫茶店で使うちょっとした雰囲気の良い(けど安い)物を手に入れるには
うってつけの場所であった。

愛が店を回ってこれはと思う物を選んで買ってはれいなに持たせてまた次の店に行く。
いつの間にかそういう役割分担になっているのは、れいなに品定めを任せるとドクロの
ついたカップだのあまりセンスがいいとは言いかねる物ばかり選んでしまうからである。
以前それをやって、愛ばかりでなくたまたま店に来ていた里沙とさゆみからも徹底的に
ダメ出しされて以来、大人しく荷物持ちに甘んじているれいなだった。

2時間ばかり市を回って買い物も一段落したので、2人は近くにあるカフェ - リゾナントの
ような喫茶店ではなくいわゆるシアトル風の有名チェーン - でひと休みする事にした。

お気に入りのキャラメルマキアートを飲みながられいなが口を開く。
「ねぇ愛ちゃん。」
「なん?」
「愛ちゃんと、あとガキさんが前にいたって言う、『M。』のこと、、」



れいなが聞いてみたかったのはリゾナントの前身とも言える組織の事。
普段は話題にも上らないが、ごくたまに愛と里沙の間でその名前が出ると、決まって2人とも
どこか遠い目をするような、そこに自分達の容易に立ち入れないものをれいなは感じていた。
勿論、2人にとっては先輩と言うべきメンバーの何人かがそこからダークネスに堕ちたのは
戦闘中の会話から何となく知ってはいる。よって迂闊に立ち入るべき事でないのも分かっていた。

でも、だからこそ一度きちんと知っておきたかったのだ。
普段リゾナントにいる時は客がいるか、さもなくば他のメンバーが騒がしくてそれどころでは
ないから、今日のように2人で出かける日はまたとない機会であった。
そんなれいなの想いを心を読むまでもなく理解した愛は、少しずつ語り始めた。

「だいたいはね、今とかわんないよ。目的は勿論うちらと一緒だし、互いに信頼し合ってた。」
し合ってた筈だった。それなのに-

『M。』の主戦力は安倍と後藤。
戦闘中の役割は愛とれいなのそれにも似て、後藤が言わば特攻隊長で安倍が後方支援。
違うのは2人とも基本的にはオールマイティだった事と、リーダーはまた別のメンバーだった事。
まだ下っ端だった里沙と愛は彼女らのもとで果敢に戦った。
また、里沙は安倍に心酔していたし、愛は後藤に憧れていた。

「強いだけやなくて、カッコよかったんよ。」
「へぇ~」
「『能力』は勿論だけど、生身の戦闘能力も高かったからね。ほんで、動きがいちいち決まってた。」

まるでタカラヅカの水さんとか言う人の話をする時のように熱を持って語る愛の話を聞いて
れいなは軽く嫉妬しながら、それほどになってみたいと思う自分をも感じていた。

「愛ちゃんは後藤さんの事好きだったとねぇ。」
「うん。好きだった、よ。-」

遠い目をしながら愛は忘れられない光景に思いを馳せる。
『M。』が壊滅したあの日、燃えさかる炎の中に立つあの人はそれでもとても美しかった。






 - たとえ、それが壊滅させたその当の本人であったとしても。





















最終更新:2012年11月24日 13:02