(09)542 『~To the prologue again~』

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   第一部完

――その15年後――


――2023年6月28日――ダークネス全体集会

この日、全国のダークネスの幹部、約2000名が本部の集会場ホールで一同に会した。

政界への進出も果たし、総裁を初めとする参与、副総裁たちの演説にも熱が入り、集会は活気に満ちていた。

主要な演説も終わり、参謀が各種、連絡事項を告げた後、あるゲリラ集団に対する報告をし始めた。

 「幹部諸氏の中には、ご存知の方も多いとは思うが、

 2008年に我々の手により壊滅状態に陥れた、リゾナンターと言う対抗組織の残党が、

 昨今、再び暗躍し、 我々の活動の妨害をしているとの情報が各地より報告されている。

 承知の通り、かつてのリゾナンターのリーダーであるi914こと高橋愛はすでに、死亡している。

 おそらく、あのゲリラ集団は、新しいリーダーを立て、新たな構成員と共に活動を再開してるものと思われる。」


参謀は資料を取り出し、それを読み上げる。

 「以下、実際の被害ケースによる留意点を報告する。

 ・リゾナンターは、常に一人~数人による少数の構成員で活動する。

 ・リゾナンターは、白と黒の衣装を着用する。

 ・我々の活動を阻害する場合、いきなり接触はして来ず、予め、精神干渉による動作抑制を仕掛けてくる。

 これに関しては、実際の被害レポートが詳細に伝えてるので抜粋を読み上げる。

 (任務遂行途中、思考に霧が掛かったような感覚にとらわれ、不審に思った所、

 いきなり、……お前達は動けない……との洗脳言語が脳内に響き、身動きが取れなくなった。)

 もちろん、ここにお集まりの幹部諸氏の中に、精神防壁のスキルを持たない者など居るはずも無いので心配は・・な・・」



【これより先はBGMと共にお読み下さい】





参謀は、突然、喋るのを止め、フラフラと壇上を降り、会場の開いている席まで行くとストンと座った。

聴衆は、唖然としてその行動を見ていた。参謀の目に、意志の力は無かった。

すると、空(から)の壇上に、一人の女が、忽然と現れた。

年の頃なら30~32歳と言った感じの、醒めた目をした女だった。

黒いブラウスに白のアンサンブルをまとったその女は、流麗とした眼差しで会場を見渡し、だしぬけに言った。

 「私は、リゾナンターのリーダー、光井愛佳……」

静まり返る、会場。

 「すでに、ご承知とは思いますが……」女は片方の頬を微かに上げて笑うと、言った。「お前達は、動けない」

会場は誰一人として、身動きが取れずにいた。

「さて、…………」女は、一息置いて会場をゆっくりと見渡す。その聡明さをたたえた瞳は、見る者を取り込む魅力がある。

「私のような若輩者が、大宴の壇上で物申すのは、恐縮の極みでございますが、活動を再開するにあたって、

 ダークネス諸君に一言ご挨拶をさせて頂きたく参上しました。

  以下、主文。直接、脳内へ流入させることを、お許し下さいますよう……」


何も出来ずに棒立ちになっている2000名の能力者の脳内に、声が響いた。 低くなめらかな、その声が。

  *1

  *2

  *3

  *4

  *5

   *6

その声が脳内に流れてる間に、徐々に金縛りは解かれ何人かは動けるようになり、

銃を手にしている者達が、壇上の女に向かって発砲した。

しかし、その弾は女の身体をすり抜け、後ろの壁に穴を開けた。

「なお、この映像は念写によるものである。  では、いずれ、また何処かで……」

女は黒のロングブラウスをひるがえし、会場に背を向ける。

風をはらんでまくれあがったブラウスの裾から、不釣合いなパステルカラーの御守りを二つ覗かせると、女は消えた。







全ての者に告ぐ。   蒼き正義に共鳴せよ。                     




















最終更新:2012年11月24日 14:46

*1 心を研ぎ澄ませ。 聞こえるはず。胸のうちに鳴り響く、その共鳴が……

*2 微かな、音を聞き逃してはいけない。

*3 その響きは、次第に大きくなり

*4 やがて、新たな共鳴を呼ぶ。

*5 そして、共鳴の連鎖は、決して止むことが無い。

*6 全ての者に告ぐ。 蒼き正義に、共鳴せよ。