(09)690 『決行☆売り上げ奪還大作戦』

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我らがリゾナンターの牙城、喫茶リゾナントは、いつになくどんよりとしています

あ、こんにちは、ミッツィーでーす!!
…すみません、ちょっとでも明るくなればと…反省してます。お恥ずかしいです。
それというのも、大きなトラブルに巻き込まれ、実は今、経営危機なんです…

「こっんにっちわーっ!!」
がだんと大きな音でドアを開けながら、どんよりから最も遠い女、久住さんが来られました
「やー今日は、収録が、早 くすみ ましたー!!」
それはこないだ終わったコーナーですやん。久住さんのせいじゃないでっすって。
え?見てましたよ、久住さんの出るもんは何でも見てます

「なんか、暗くありませんかー?どうしたんですかー?」
新垣-高橋-田中の梅雨前線に果敢に突っ込むその姿はまさに英雄です。
ジャンヌ・ダルクも真っ青です。
でも、これ以上厄介事になってはいけません。新垣さんの額の筋を見ましょう、久住さん。
愛佳は、お茶がありますよ、と言って久住さんを2階に誘い込みました。


集まったのは、やはりいつものロフト。所有者なしに入るのは気が引けましたが、仕方ありません。
何も動かしたりしなければ、問題は何も…

「ミッツィー、田中さん、棚にチョコ隠してたよー」
あ、それ、愛佳がこないだあげたのと同じやつ。気に入ってくれはったんや。良かったー
自分でまた買いはったんやなぁ…そう思ってた隙に、久住さんはそれを食べ始めました。
一個くらい、バレないよ。と、一気に三袋開けたのを見て、愛佳は何も見なかったことにしました。

「で、で、どうしたの、みんな…」
口の周りのチョコをマジマジと見ながらも、
愛佳はこの店…いや、高橋さんの身に起こったことを説明しました。

-4時間前(再現VTR)-
 鳴り響く固定電話 れいな買出し中につき、受話器を取ったのは、愛

 「もしもし、愛ちゃん、あたし。あたしあたし…」
 「おー、ガキさんかぁ?」

 「…うん、そう、…ガキぃ」
 「どうしたん?なんかいつもと声ちょっとちゃうけど…」
 「実はね、仕事でちょっと、ミスーしちゃって。今、警察」
 「な、だいじょぶなんか?!」
 「先方からは、示談金で済ますって言われてるの…」
 「じ、示談金って、お金!?」
 「愛ちゃんお願い、絶対返すから、今から言う通帳に急いで振り込んで欲しいの…」
 「水臭いでガキさん!すぐ送るがし!!」


「そ、それ詐欺でしょ!?オレオレ詐欺!」
今は、振り込め詐欺って言うんだよ!あたし、こないだニュース見たもん!!
でもあれってだいぶ前だよね、めちゃくちゃ流行ったの!
ケーサツには!?電話したの!?
愛佳は久住さんの愛(チョコ)を顔に受けながらも、真摯に対応しました

「はい…一応警察には届けたんですけど…時間が経ち過ぎて何も…」
おそらく、きちんとした捜査さえなされなかったようです…

振込み金額は、約一ヶ月の店の売り上げ。これじゃ、店が立ち回っていきません…
愛佳も考えれる限り、対策を考えましたけど、どうすればいいか。
悔しいです。このままじゃ、人の悪意によって、また私達の居場所が…


「ミッツィ…」
知らない間に、泣いてしまってました。下では我慢できてたのに…
あかんなぁ…泣きたいのは愛佳だけじゃないのに…
そんな愛佳の手をぎゅっと握ってくれる、久住さん。
優しいんですね、ありがとう―そう言おうと思ったのに…

「くよくよとか、してらんない!!さがそう、犯人!!」

久住さんはぐいっと愛佳の手を握り、立たせると、店の外まで引っ張り出しました。
な、なんなんですか、急にーどこ行くんですかー


「持ってきましたよ…久住さん…」
やってきたのは保全銀行。高橋さんが振り込んだ銀行です。
久住さんは振込み時の高橋さんを念写するために、
トイレットペーパーを拝借してこいなんてムチャ振りを。いじめです、普通なら。
でも、久住さんですから。きっと、何かやってくれる。この人はそういう人です。
おトイレに、200円置いておきました。相場かどうかは分かりませんが、気持ちです。申し訳ありません。

真剣に念写し始める久住さんを自分の身体で人の目から隠しました。
次々現れる、不鮮明な白黒写真の中で、高橋さんが動きます。
酷く、焦った表情。本当に新垣さんを心配してた。
わかってるから、誰も責められない。

「これだね!ミッツィ!!」
私はクーラーガンガンの銀行内で一人汗だくの久住さんにハンカチを差出し、紙を見ました
コンマ数秒での念写で、浮かび上がる高橋さんのATM入力

「よっし、もうひと仕事…」
久住さんは鞄からインクジェットの用紙を出し、手元を拡大コピーしました
今度はカラーで鮮明に現れる、数桁の悪意への扉。
「高橋さんに聞いても良かったんだけどね、今はそっとしといてあげなきゃね」
貴方は、ホントにさりげなく優しすぎる。
そのポーカーフェイスの裏にどれだけの感情を隠してるんですか?


「よっし、ATMに電気流して、相手の引き出し先、探すよ!
 そしたらあっちでも念写しまくって、相手のヒント、探す!
 リゾナントは奪わせない、誰からも。」

それは普段はなかなか表に出ない、久住さんのリゾナントへの深い愛情。
いつだって気持ちは一つだったんですよね?
一回でもしんどい念写を何度も繰り返す、そんなこと興味や好奇心だけじゃ、できない。
取り戻すと言う、信念…久住さんの希望に満ち溢れた目に、愛佳は惹かれました。
いつだってこの人は、革命を起こすんです。今だって、きっとそう。

「じゃあ、またトイレットペーパーが、要りますね?」
愛佳の目にも灯った希望に、久住さんは頷き返しました
「よろしく、相棒!頼りにしてる!!」

相棒、その言葉で愛佳の頬は上がりました。
自分も諦めません。リゾナントは奪わせません。
再び申し訳ない気持ちで、200円を置き、トイレを後にすると、
もわもわとATMから煙が出て、銀行がパニックになってました。
久住さんの姿は、当然のようにありません。防犯カメラも不審な壊れ方をしています。

愛佳はくるっとUターンして、トイレの窓から銀行を後にしました
授業料の振込み銀行の換え方を今度教務課に聞きに行きます。

どうやら破天荒な久住さんの相棒は、愛佳以外に勤まらないみたいですね。



「青い、スポーツカー…」
その後幾度となく繰り返された念写によって、
金を下ろした女が、共犯の男のスポーツカーで逃げていくのが分かりました。

「あかん…これ、4時間前ですよね?」
この写真からの4時間全ての足取りを久住さんが念写していくなんて到底無理です。
「や、やる!!」
「ダメですよ!!」
足元、ふらふらじゃないですか?
「ここまで来たのに…やだ!絶対にやだ!!」
「仮に出来たとしても、今現在も動いてるんですよ!?」
それをも全部、撮るなんて…

「…わかった。」
頭垂れる久住さんに愛佳はわかってくれた安堵と少しの悲しみを覚えました。
もう打つ手は打った。なんとかしてお金、集めましょう…何も思いつかないけど…
「ミッツィ、あたし…」
小さな声で、久住さんが何かを話始めました。

「あたしに見れるのは、過去と未来の一部…つまり、切り取り写真」
久住さんは鞄を探ると渾身の力で、何かを念写しました
裏面の念写は見せず、表面を愛佳に見せました

「ミッツィ、これ…」
それは写真。だいぶ前にみんなで撮った、記念写真。


喫茶リゾナントの前、共鳴の9人…
皆笑顔で、心底幸せそう…

「あたし、リゾナントが好きだよ?
 仕事で苦しいことがあっても、みんなといたら忘れる」
この性格も、この能力だって、包み込まれる…

「あたしたちにとって、店はただの建物じゃない。」
あたしたちの喜びも、悲しみも、見守ってくれた、10番目のリゾナンター

「あたしには、ここまでしかできない…」
写真の裏に念写された、悪意の青いスポーツカー
それは、久住さんの決意。大切な写真を使うほどの決意。

「この写真は、大事な写真だよ。でも、ホントに大切なのは、未来だよ
 あたしはこの場で、みんなと笑いあいたい。」
ミッツィ。あたしには、ここまで。でも、ミッツィには、この先が視得る。

「この続き。こいつらを捕まえるための、未来が…」

手渡された、写真。こんな風に写真から未来を視ようとしたことはなかった。
でも、やらなきゃいけない。きっとやれる。
私を見つめる、久住さんの瞳は、どこまでも透き通っていた。

目を閉じ集中する 
心の奥深くで 紫のもやの中 いつもみたく 笑いあう私達がいる
愛佳のこれ、成功するんや―そう確信して、より深く、未来を探った


「たっかはしさん!飛びたい!飛びたいんです!!飛んでください!」
喫茶リゾナントに駆け込む、愛佳と久住さんに大きく目を見開く高橋さん
「インターチェンジに、あと5分で行かなきゃいけないんです!」

私に視得たもの。
青い悪魔が高速道路の看板の下を走り抜ける映像。後部座席にはお金。
その車内時計の指す時間は、今から5分後。
あまり車に乗らない自分にはそれがどこなのかわからない。
わかったとしても、行く事はできない。私には、ここまで。

「ミッツィが、犯人の車を見つけました!読み取って、そこに行って捕まえて下さい!」
高橋さんは、愛佳に触れて、映像を読み取りました。
久住さんから愛佳に渡った情報は今高橋さんに…高橋さんにはこれからが、できる。

「ごめん、小春、ミッツィ。あーし、大事なこと、忘れてたね。」
諦めんよ。間に合わせる。
高橋さんの目に再び灯ったのは、久住さんと同じ、あの光。

「行ってくるわ。借りを返しにね」
光に包まれ始めた高橋さんの両肩に手を置いたのは田中さんと新垣さん

「愛ちゃん、ここはフツー倍返しっちゃろ?」
「当然、私の名前を使うなんて…愛ちゃんを騙すなんて、万死に値するわ…」

この先は少し視たくないものになる、本能がそう叫びました。




「うーうーつーかーれーたー」
額に冷やしタオルをあてながらソファで寝そべる久住さん。
無理もないです。あんな長時間、何枚もの念写を重ねたんですから。
私は黙って、タオルを絞りなおしました。

「ありがとーミッツィーああああ、でも何とかなって良かったー」
お金は無事に戻ってきました。
…無事、という言い方は些か間違っています。相手方の立場に立った場合。

「ねーミッツィ。」
チョコでも欲しいのかな、そう思って身構えていたら、ぎゅっと手を握られました
「あのさ、ホントにミッツィのこと、相棒だって思ってるんだよ」
みちしげさんとーかめーさんとか、ジュンジュンリンリンみたいに戦闘での連携は難しいかもしれないけどー
「それだけじゃ、ないよねー。あーうーん…小春こういうこと言うの苦手だなー」
こうやって手を繋いだら、全部伝わったら良いのにね

苦手、なんて言葉、貴方から聞けるとは思いませんでした。
それほど、大切に思ってくれてはるんですね。愛佳にかける言葉を。愛佳との関係を。

「伝わりますよ。手繋いでるだけで、伝わります。」
声を震わせないように注意して言いました。貴方の相棒なんですから、泣いてばかりはいられません。
相手に合わせるのも、相棒としての大切な役割です。

「そっか…えへへ…良かった…」
久住さんは静かに、タオルを目にずらしました。
泣いてええんですよ…久住さんは泣き虫な愛佳の相棒やから。



今日は久住さんの色んな面を見つけました。
普段は隠れてるリゾナントへの愛や、わたし信頼を寄せてくれてること。
こんなこともう起こって欲しくはありませんけど、大切な思い出になったのも事実です。

自分でもここまでしかできないって思ってた線が、久住さんの力で一つ進んだ気がします。
久住さんに信じてもらえるなら、どこまででも行ける気がする。
久住さんを支えれるなら、何だって出来る気がする。

ひらりと舞い落ちた、裏に今日の成果を纏ったあの写真。
久住さん、これ、持ち歩いてはったんですね。


ねぇ、久住さん。今度また写真撮りましょう?
写真一枚一枚に残される、今を重ねて未来に行きましょう?

2人で、一緒に。
みんなと、共に。




















最終更新:2012年11月24日 15:01