(15)211 『未来の青空の下で』



(これで…これでこの戦いは終わる…!)

その右手を振り下ろそうとした刹那、愛佳の脳裏に“未来”が浮かぶ。

(これは…!!)

頭の中に浮かんだ“映像”、それはあまりにも残酷な“未来”だった。

(このまま「これ」をすれば私は生き残れる…でも…久住さんは…)

自分の右手の中のものを見つめ、そして小春の無邪気な笑顔を想い…愛佳は一瞬躊躇した。

(だけど…やるしか…久住さん…ごめんなさい…)

元より誰も犠牲にならずに済む未来など存在しなかったのだ。
小春もきっと分かってくれる。

愛佳は唇を噛みしめ、残酷な“未来”の選択を決断した。
その選択が小春にとって悲劇となることを知りながら。


空中で数瞬止まっていた愛佳の右手が振り下ろされる。

そして戦いの情勢は決した。
思わず耳を塞がずにはいられない、小春の悲痛な絶叫の中で・・・





「あああぁぁっ!!何でそこで“革命”なのみっつぃー!!」
「うるさーい!声大きすぎだから小春!」
「すんませーん大富豪の座いただいちゃいましたーぐふふー」
「みっつぃー絶対ズルだよ!予知のチカラ使ったでしょ!」
「つこてませんよー。何か証拠でもあるんですか?」
「・・・別に大丈夫だもん!小春のカードあと全部ジョーカーだもん!ほら!ほら!」
「ジョーカーが5枚もあるわけないでしょうが!アンタこそ念写でズルしないの!」
「新垣さんだってさっき亀井さんに精神干渉使って変なカード出させたくせに!」
「えーガキさん絵里にそんなことしたんですかー?ひどいー」
「してない!それは単にカメがぽけぽけぷぅなだけでしょうが!」
「そっかぁーえへへ・・・」
「ズル・・・ヨクナイ!」
「ソウデス!勝負ハバッチリフェアニヤルベキデス!」
「ちょ・・・ジュンジュンカードひしゃげてるから!リンリンカードから煙出てるから!」
「オーツイ興奮シテシマイマシター」
「オイ、道重コレナオセ」
「・・・普通に無理なんだけど。さゆみ物も直せるとか言ったことあったっけ?ないよね?」
「ナンダデキナイノカ。役ニ立タナイナ」
「・・・・・・・・・あなた・・・・・・口の利き方をご存じないみたいね」
「ちょっとお姉さん!お姉さんは出てこなくていいですから!さゆ!戻ってきてさゆ!」

「平和やのー」
その輪から離れて、愛はコーヒーを片手に窓の外に広がる蒼く晴れ渡った空を見上げながら目を細めた。
今日も世界は・・・そして喫茶リゾナントは平和だ。

「大体最初に愛ちゃんが精神感応や瞬間移動でズルしまくったのが悪いんだから!」
「あっひゃー」

ちなみにれいなは買出しに行っていて輪に加わりそこね、モノ言いたげな表情のまま今に至っているのだった。





















最終更新:2012年11月25日 17:16