(17)133 『月夜に書いたラブレター』



愛ちゃんはねぇ、すっごい優しいんだよ。それに絵里のこと、いっぱい褒めてくれる。
泣き虫だけど強くて、なによりもメンバーを大切に思ってくれる。
くしゃってなる笑顔が可愛くてね、愛ちゃんのこと頑張って笑わせるんだ。愛ちゃんが作ってくれるカフェオレは世界一、おいしいんだよ。

ガキさんは、厳しい人。絵里よく怒られちゃう。けど、それ以上に自分に厳しい。妥協しない。
誰よりも真面目で、常に上を目指してる。でもね実はおっちょこちょいだったり、不器用だったり。そんなトコが好き。
だって絵里たちが助けてあげられるでしょ?いつも頼りすぎてるかな。…ありがとう

さゆはねぇ、絵里にとってかけがえのない人。さゆがいなかったら絵里はきっと…ううん。言わない約束
人の痛みを自分の痛みのように感じられる、すごく繊細な心をもってる。絵里のことを一番に心配してくれる。
ずっと一緒だよ。クレープ食べに行こうね。おいしいお店、見つけたんだから


れいなはねぶきっちょで、シャイで、恥ずかしがりやで。かわいいトコいっぱい持ってんだよ
戦うと強くてかっこいいくせにさぁ、本当のれいなの姿、絵里きゅんってしちゃうもん。…だから守ってあげたくなる。
本当は守ってあげたいくらい弱い所あるんだよ。今の絵里なんかに、守れないけどさぁ、いつかゼッタイ守れるようになるからね

小春ちゃんはね、見てるだけで元気になれる。みんなの太陽みたいな人。
不器用で周りに勘違いされること、すっごい多いけど。寂しがりやさんなんだよ。でもね、それを見せない
そういうところ、強いって思う。絵里の隣でずっと笑っててよ。寂しくなったら、絵里ちゃんの胸、貸してあげるからさ。

みっつぃーは頑張り屋さん。なんにしても頑張る子。無理してない?って思うときもあるけど
いつもにこにこ笑顔でね。かわいいの。思わずなでなでしたくなっちゃう。
よく笑うようになったよね。絵里、安心してんだよ?みっつぃーの帰る場所は、ちゃんとあるんだからね。


ジュンジュンはねぇーおっきくてあったかい。パンダのとき限定じゃないよ?人間的にも、だからね。
さりげない優しさで包み込んでくれてる、そんな気がするんだ。伝える手段は言葉だけじゃないんだって教えてもらった。
でもね自分のバナナ食べられたときのジュンジュンはすっごい怖いよぉー!誰も近づけないんだから。ちょっとくらい許してよ

リンリンは祖国も歴史も仲間も自分に関わる全てを大切にしてる。そんけーしちゃうよ
人の感情にも敏感で、みんなのことすごくよく見てる。そして一番に声をかけてくれる。
それなのにたまに空気読めてないとか、そんなちぐはぐなところが好き。リンリンのさむぅいギャグは、いひひ。元気がでるよ










「はやくみんなに会いたいなぁ」

絵里は手のひらに言葉を乗せてふぅっと吹いた。濃紺の空に丸い月がきらきらと輝いている。

「お月様と一緒にみんなに届けぇー!」

もうすぐ満月だ。

「亀井さーん!消灯の時間ですよー」
「はぁい。わかってまぁす」

窓を閉めて白いカーテンを引いた。

明日、目が覚めたら一番に彼女達を想おう。
それから、外泊許可時間になったら病院を飛び出そう。真っ先にリゾナントへ向かって、ただいまぁって大声で言って
さゆにぎゅぅってしてもらって、みっつぃーの頭をぐしゃぐしゃなでて、愛ちゃんに甘えて、それからにそれから…


――――――――― ……











「ぜぇんぶ聞えとるがし」

愛はリゾナントの厨房を掃除する手を止めて、締め切っていたカーテンを開けた。
里沙もさゆみも、れいなも。小春も愛佳も、ジュンジュンもそれからリンリンだって。
それぞれの場所でそれぞれ想い、空を見上げた。

まん丸の、月と届いた、ラブレター

絵里の会いたい気持ちがみんなを呼んだ。全部ぜんぶみなの心に共鳴した。



「あたしたちも早くカメに会いたいんだからね」



みながそれぞれに返事を返すころ、絵里はぐっすりと明日に向かって時を刻む。
穏やかな、月が綺麗な夜だった。





















最終更新:2012年11月25日 20:24