(01)885 名無し募集中。。。 (○| ̄|_ )

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ぷぅ

一つの音が、テーブルを囲んで夕食を営む9人の団欒を引き裂いた

「…い、今のもしかして…、屁?」
一瞬の沈黙の後、さゆみが発したその一言が火蓋を切った
「ちょっと信じられんなーい!誰?食事中に」
「あ、あたしじゃないよ」
「絵里でもなーい」
「小春!あんたでしょ!」
「ち、ちがっ!小春じゃないもん!みっつぃーじゃないの!」
「あたしちゃいますよ、屁なんかこきません」
「もー誰よ一体、ってジュンジュン何呑気にバナナ食べてんの!」
「ワタシ、チガウ」
「だからバナナは置きなさ…く、くさっ!!」
「くっさーい!何この卵みたいな匂い」
「この匂いはガキさんやろ」
「ちょ、愛ちゃんそれどういう意味!」

全く収拾のつかない犯人探し。屁こき虫の正体を突き止めるべくリーダーが立ち上がった
「じゃあちょっとあっしがテレパシーでみんなの心の声を聞いてみるわ」
そう言って目を閉じ、じっと集中するように動きを止めるリーダー。8人の視線がリーダーに注がれる
「うーん、あかんわ。みんな心閉ざしてて誰が犯人か分からない」
「じゃあちょっと私がみんなの意識を探ってみる」
今度は里沙がそう言って目を閉じる。瞬時に沈黙と共に張り詰めた空気が9人を包んだ
他人の意識下まで探る事のできる里沙の能力の前では誰も嘘をつく事などできないのだ
幾らかの時が流れても里沙はまだ目を閉じたままだった
その間言葉を発する者は誰もいない。ジュンジュンだけがバナナを食べていた
だがその時間を永遠にも感じている者が、屁こき虫がこの中に確実にいるのだ

ふいに里沙が目を開いた。プツリとその場を支配していた緊張の糸が切れる
「ガキさん!誰だった?」
「小春じゃなかったでしょ!」
「れいなは無実だよね!」
一斉に里沙に言葉を浴びせる。その言葉を受けて里沙はゆっくりと一つ深呼吸をして言った
「屁をこいた犯人は…」
「犯人は?」
「犯人は…」
「犯人は?」
「…ごめん、分からなかった」

「えー!何それー!」
「新垣さんでも分からへん事あるんですか」
「バナナバナナ」
「あっ、こらジュンジュン!力使って人のバナナ取らない!」
拍子抜けしてグッタリとへたり込む彼女たち
「ごめん、私が探った中に屁をこいたっていう意識を持った人を見つけられなかったの」
「う~ん、じゃあ誰が犯人だろう」
「やっぱり小春でしょ」
「ちょっ!ちがっ!小春じゃなーい!」
また振り出しに戻った犯人探し
いつ果てるとも知れない禅問答のような討論がまた始まった

屁の匂いは消えても犯人が消えるわけではない
一体誰だ屁こき虫は、その謎を解き明かすべく一人の少女が手を上げる
「あ、あの~」
全員の視線が一斉にその少女に集まる
「犯人分かっちゃったんですけど、さゆみ」

「みんな知ってると思うけど、ガキさんの能力は人の意識下に自分の意識を滑り込ませて支配する事じゃない」
さゆみは金田一少年よろしく、一人立ち上がって謎解きを始めた
「その過程で人の意識を探る事によって、その人しか知らない秘密だって知れるんだよね」
さゆみに見つめられた里沙は小さく頷く
「それならついさっき自分が行った放屁という行為をその力から隠し通すなんて、普通に考えて無理じゃない?」
「確かに」
リーダーが同意したのを聞き、満足そうに頷くさゆみ
「ガキさんは嘘はついてないよね」
「ついてないよ、確かに誰の意識にも自分が屁をこいたっていうものは見つからなかった」
「じゃあ答えは一つ」
そう言ってさゆみはみんなに背を向けた
全員が息を飲む気配を背中に感じながらさゆみは人差し指を立てた
「犯人は…」
その言葉と共に振り向いたさゆみの視線は一人の少女へと迷いなく向けられていた
そしてその少女へと立てた人差し指をゆっくりと向ける
「犯人はあなた」

人差し指を向けられた少女、里沙は驚きの余り昭和のコントのように座っていた椅子から転げ落ちた
全員の視線が尻もちをついて頭にスリッパを乗せている里沙へと向けられる
「ええええええ、あたしいい???」
そのあまりの滑稽な姿に不適な笑みを浮かべながらさゆみはゆっくりと頷いた
「屁をこいた意識を持つ人はいなかった、そしてガキさんは嘘をついていない」
まさにハトが豆鉄砲くらった顔をして自分を見つめる里沙を真っ直ぐに見つめながらさゆみは続けた
「それなら答えは一つ、犯人はガキさん、あなただからよ」

必死で否定する里沙、だがさゆみの推理に合点したのか里沙を追求するその他の面々
「ガキさーん、言ってくれれば屁くらい絵里が共有してあげたのに」
「そんな否定する事なかとー」
「新垣さん小春のせいにしようとするなんて酷いです!」
「やっぱりガキさんの匂いやったわ」
「ちょっとほんとに違うって!私じゃない!」

すっかり場の空気がガキさん犯人説で落ち着こうとする時、一人の少女がある事に気付いた
「あのー、なんかリンリンがさっきから一言も喋ってないんですけど」

愛佳の一言で全員の注目がリンリンへと集まった
確かにさっきから俯いたまま一言も発していない
「リンリンどうしたの?」
「どっか具合でも悪くなった?」
「ガキさんの屁が臭すぎたんやで」
「あたしじゃないって言ってんでしょ!」
そう言ったところで里沙は気付いた
さっきリンリンの意識を探った時、確かに屁をこいたという意識はなかったが違和感を感じていた事を
そう、リンリンの意識はある一つの事に支配されていた
その意識を思い出しながら里沙は呟いた

「こ、小島よしお・・・?」

それを聞いたリンリンは唐突に椅子から立ち上がり
全員の視線を浴びながらやった、やったのだ。そうあれを


○| ̄|_  屁~コイタ~

    〃〃   ♪ズンチャ!♪ズンチャ!
 ○/\〃   ♪ズンチャ!♪ズンチャ!
 ノ  <〃〃

  ○    リンリンハ♪ 屁コキ虫デスヨ♪
*1
  <|

 ヽ○    ダケドモダッケッドッ♪
  |>
  ((


 〇∧〃 
 / >  デモソンナノ関係ネェ!
 < \  ソンナノ関係ネェ!


  〇/ ハイ!
 /|    オッパッピー!!
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一瞬で凍りついた空気を物ともせずにリンリンはいつもの笑顔で言った
「バッチリデ~ス♪」
誰一人として動く者はいなかった、いや動けなかった。あのジュンジュンでさえバナナを食う手を止めていた
「アレ?ドウシマシタ皆サン、面白クナカッタデスカ~」
「デモソンナノ関係ネェ!ソンナノ関係ネェ!ハイ!ウッサッピー!!」
「道重サン、ウッサッピー!」

臭い屁の匂いとリンリンの凍りつくようなギャグ
その二つの悪夢を拭い去れないまま8人の恐怖の夜は更けていった




















最終更新:2012年12月17日 11:34

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