(19)300 『飛べよ 折鶴』

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「亀井さん、お見舞いの折鶴は首の部分を折ったらあかんらしいですよ。
何か俯いているようで縁起が悪いと思われるみたいで」
「みっつぃーは物知りなんだね。 
でも鶴は落ち込んでああいう格好をしてるわけじゃないじゃん。 
鶴は鶴なりに前へ進もうとしてああいう格好をしてるわけだから、ここは折っとこうよ」

予知能力者光井に見えた不吉なビジョン。
難病の子を抱えた母親が、わがこの命を奪い自分もその後を追う。
そんな未来は悲しすぎるから、そんな未来は変えてしまいたいから、光井は風使い亀井に助けを求めた。

「何で私を呼んだの」
「さあ何となく亀井さんの顔が浮かんだんです」
「泣いてもいいかな」

「ガキさん呼ぼうか」
悩みに悩んで導き出した答えがそれだった。
確かに新垣の精神干渉の力なら、暗く悲しい考えに取り付かれた母親の心を解きほぐしてくれるだろう。
電話の向こうで新垣は一瞬絶句したが、ふっと笑って来てくれると言った。

新垣が来るまでの間、母子の部屋を見張ることになった二人。
所在無げにしていた亀井は光井の大事なノートの白紙のページを一枚破りとった。
咎めるような目で見る光井に亀井は言った。

「うへへへ、お見舞いの折鶴でも折ろうかと思ってさ」

二人の思いが込められた折鶴が、風に舞ってひらひらと悲しい母子の部屋に向かって羽ばたいていく。
頼りなげなその姿が風にさらわれそうになると、亀井が巧みに風を操った。
やがて窓の僅かな隙間から、祈りの折鶴が 母子の部屋に届けられた。
泣きそうな目で母子の部屋を見守る二人の姿は本当の姉妹のようだった。
やがて部屋の窓が開き、母親が顔を覗かせた。
二人に深々と頭を下げるその姿は、二人で折った折鶴の姿に少し似てた。
                                              (飯屋でホゼナント)




















最終更新:2012年11月27日 00:45