(02)066 名無し募集中。。。 (ジュンリン・仲違い)



きっかけはいつも些細なことだ
今日はバナナの最後の一本を食べてしまったことが原因だった
目覚めたらなぜか無性にお腹が空いていたので彼女の枕元にあったバナナを食べてしまったのだ
バナナがないと彼女はいつも不機嫌になるし勝手に食べると怒るのも承知していた
でも彼女はまだしばらく起きそうにないし起きる前に新しいバナナを買ってくればいいと思った
何より空腹に耐えられなかったのだ

バナナを買って帰ると彼女は起きていた
「起きた?オハヨー!」
彼女はそれを無視して無表情で言った
「バナナドコ?」
「買ってきたヨ!ほら!」
「枕元に置いてあったバナナは?」
「ゴメン、食べちゃった!だから新しいのドウゾ!」
「ナンデ勝手に食べるのヨ!!」
「ゴメンナサイ・・・悪いと思って新しいの買ってきたんだからそんなに怒らなくても・・・」
「いつも勝手に食べないでって言ってるでしょ!」
「#’(*+&$’(&%(’)~=%$!!!」

怒ると彼女は地元の言葉を私にも分からないくらいの早口でまくしたてる
聞くに堪えない汚い言葉だ
私は耐えきれず外へ飛び出した


外に出てもどこか行くあてがあるわけではない
ただ街の中をうろつくだけだ

彼女からは何回か携帯にメールが来た
心配している感じはあるがごめんという言葉はない
彼女のほうからごめんと言わない限り今日は返事もしないし家にも帰らないことに決めていた
彼女は自分から謝ることは絶対にない
いつも謝るのは私からだ
彼女は私よりも年上なのに幼稚だ
しかし人前では偉そうにしたがる
私は彼女と一緒にいるのに少し疲れていた

「なるべく一人で外を出歩かないこと。特にジュンジュンとリンリンはね」
リーダーに言われた言葉を思い出す
二人でワンセット
二人でいないと何も出来ない
そう思われているのがいやだった
私は一人でだって戦える
そう認めて欲しかった


やがて雨が降り出してきた
強い雨ではないが次第に体が冷えてくる
私はその場にしゃがみこんだ

「リンリン?」
声がして見上げるとそこに彼女がいた
「何してるの?早く帰ろうヨ」
私は何も答えず俯いていた
「・・・ごめんね」
それは彼女から聞く初めての謝罪の言葉だった
「ごめん、さあ帰ろう」
「・・・うん」

彼女は私の手を引いて歩き出した


「あれ、どこへ行くの?こっちは家じゃないヨ?」
私の問いには答えず彼女は不敵な笑みを浮かべた
そして少しの間をおいてこう言った
「一人になるのを待っていたんだよww」

それは彼女ではなかった

怪人は2本の腕で私の首を絞め残り2本の腕で私の腕を押さえつけた
「リゾナンダーのメンバーをこんなたやすく始末できるとはwww」
私の首に怪人の指がめり込む
血の気が引いていくのを感じる

薄れゆく意識の中でわたしは叫んだ
「ジュ・・・ジュンジュン・・・!」


そのとき大きなエネルギーが怪人を後ろから襲った
怪人がひるんで腕の力をゆるめた隙に私はその場をなんとか離れた

「さあリンリンこれを!」
私はジュンジュンから受け取ったバナナ素早く食べた

「馬鹿な!バナナ一本で体力が完全に回復するなんて!!」

「リンリンとどめを刺すヨ!」
「はい!」

ジュンジュンと私は手と手を重ね怪人に向けた

二人の力を合わせれば怪人を倒すのは容易いことだった


「リンリン、ご飯出来たヨ!」
「はーい!」

ジュンジュンはごめんの一言をついに言わなかった
でもそれでもいい
言葉なんかいらない
私たちはもっと深い深い気持ちで繋がっているのだから

「はい、麻婆豆腐もドウゾ」
麻婆豆腐は彼女の得意料理であり私の大好物でもある
「ワーおいしそう!」
私は麻婆豆腐を口に入れた

「!!」

ジュンジュンは氷のような冷たい表情で黙って私を見つめている

「コレハ!!!」

瞬く間に顔が紅潮していくのを感じる
冷や汗が止めどなく大量に出る


薄れゆく意識の中でわたしは叫んだ









「カラーーーーーーーーーーーイ!!!!!!!!!!」






不敵な笑みを浮かべジュンジュンは言った

「wwバナナの恨みは怖いよwww」




















最終更新:2012年12月17日 11:36