(22)411 『消滅のdrop』

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雨に打たれて待っている
その時が来るのを、待っている



物心ついた頃からこの身にあった
他の誰にもない不思議な力
他人と自分を区別する絶対的な力

やがて、気づく
この力は、力無き人々を守るためにあったのだと

その想いを共有し、この正義に共鳴する仲間と共に
自分は今日まで生きてきた
これからも、そんな日々は続いていくと思っていた

けれど

状況が一変したのは十日前
自分たちの上官の男の、さらに上官の上官に相当する男が来て言った

「破滅か消滅か、どちらかを選べ」



日中両国の極秘プロジェクト被験者にも悟らせない遺伝子操作と薬物投与九人が成功
情報漏洩の疑い施設閉鎖データの紛失書類発見は半年前破壊衝動と理性の崩壊がみられる処分の必要性

告げられたのは現実味を伴わない真実
耳に届くのは真実という装飾が施された単語の連なり
単語を文章として理解するには時間がかかったけど、瞬時に理解したこともある

正義の味方なんかじゃ、なかったんだね

破滅を選べばやがては精神が壊れて破壊と殺戮行為に走ることとなり、
消滅を選べば心はそのまま、けれども肉体を完全に失うこととなる
モンスターとして生きていくか、人間のまま消えていくか
与えられた選択肢は、とてもシンプルなものだった


あれから十日
自分は今、雨降る街に立っている
理屈なんて知らないけど
この雨が、肉体を消してくれるらしかった

きっとみんなもこの街のどこかに立っている
決心が鈍くなるのが怖くて誰とも話はできなかったけれど
でもきっと、みんな同じ雨空の下にいる



一人ぼっちは怖くない
寂しいなんて思わない
今までずっとそうだった
孤独はすでに慣れている
なのに、なんで

なんでこんなにも瞳が熱いんだろう

もうこれでいいの?
見落とした選択肢はないの?
このまま消えて後悔はしないの?

ああ、わかってる
全部わかってる
でも、でも―――――!

体が透ける
色を失っていく
雨足が強まる
何も見えなくなる
視界の先も
心の奥も
ナニモカモ




雨に打たれて待っている
消滅の時が来るのを、待っている


熱い滴がこの身を叩く
さあ、すべてを受け入れよう
跡形もなく消え去るのも悪くない

だけどね、本当は

きっと


もっと




ずっと




















最終更新:2012年12月01日 17:08