(24)942 名無し募集中。。。 (俺)

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遅い…。あいつら何時になったら来るんだよ…。

俺は今、都内某所にあるダークネス本部の正面玄関前に居る。
そう、今日は此処に全てのダークネス幹部が集結するという異常事態が起きる。
魔女に続き、ダークネス最強の四天王であった『R』と『A』までもがリゾナンターに敗北を喫するという不測の事態に対し、漸く本部も本腰を入れてあいつらの対策に乗り出した証が、今回の幹部緊急招集だった筈なのだが…。

俺は他の構成員と共に、その幹部連中を出迎える為に朝からずっと待機している訳だが、正午を過ぎても誰一人来る気配はない。
今日出迎えるのは初対面の幹部ばかりだから、朝から緊張していたのだが拍子抜けだよ全く。

緊急事態だってのに重役出勤とは上の連中は呑気なもんだ。俺たち下級兵が一秒でも遅れたら即刻処罰されるってのに。

…処罰、か…。もう一度『R』の“お仕置き部屋”行ってみたかったなぁ…。



「お前さ、いい加減『R』の事は忘れろよな。何時までも未練がましい男は女にモテないぜ?」
…またコイツ俺の心を勝手に読みやがって…。俺は隣に立っている髭面の男を精一杯睨みつけた。

「俺が今度また、新しい女紹介してやるよ。『R』は確かに可愛いかったけどな、アイツよりも可愛い女なんて世の中には沢山いるんだぜ?」
『ウルサイ!!いいか、二度と俺の心を勝手に覗くな。今度こんな真似しやがったら、こ、殺すからな…!!」
「お前に俺が殺せるのか?…おっと、お喋りはここまでだ。お見えになったぞ。」

ち、やっと来たか…。幹部を乗せたハイヤーが漸く一台到着し、その中から異様に背丈が低い女が現れた。


「キャハハハハ、お早う、下級兵の諸君!!」
…何、この思わず耳を塞ぎたくなるようなキーの高い声。
『R』の甲高い声は心地よかったのに、このチビの声を聞くと物凄く不快な気持ちになるのは何故だろう。

「しっかし、相変わらずショボい顔してるね君達。そんなんだから、何時までたっても出世できないんだよキャハハハハ!!」
うわっ…このチビ性格最悪…。俺の一番嫌いなタイプの女だ。顔はまぁ可愛いが、性格悪い女は正直幻滅する。
ていうか、本当に幹部なのか?コイツ…なんか滅茶苦茶弱そう。


「ん?何お前その顔?なんかオイラに文句でもある訳?」
…ヤバい。遂また顔に出てしまったか?
落ちつけ!こんな糞チビでもダークネスの幹部だ。刃向かえば当然命はない。世界を闇で埋め尽くすその時が来るまで、俺は死ぬ訳にはいかないんだぞ?

「なんかお前ムカつく…。殺しちゃおっカナ?」

…不味い。チビの甲高い声が急に低い声に変わった。そして掌からはエネルギーの塊のようなモノが発生している。
あぁ、俺、終わった…。戦場で死ぬなら兎も角、まさかこんなチビに殺されるなんて最期まで情けない人生だったなぁ…。こんな事になるなら、あの時『R』の“お仕置き部屋”で朽ち果てていればよかった…。
「キャハハハハ!情けない顔。お前みたいな汚いゴミは死んじゃえ~☆」

チビは屈辱と恐怖で震える俺を嘲笑いながら、俺の心臓目掛けてエネルギー弾を解き放った。



…あれ?俺、生きてる…?

恐る恐る目を開けると凡そ1メートル先の地面には、チビの放ったエネルギー弾による大きな弾痕が出来ていた。
可笑しい。こんな至近距離で奴が的を外すのは有り得ない。それ以前に、俺とチビの位置関係が、俺が目を閉じる前と幾分か、ずれている。あの一瞬で何が起こったんだ???

「この辺で止めておきなさい、矢口。」
頭が混乱中の俺の背後から、低い女の声が聞こえた。振り返ると、そこには口元の黒子が印象的な闇色のスーツを纏った女が立っていた。


「何で邪魔するだよ?いいじゃん、こんな下級兵の一匹や二匹殺したって。時間停めてまでコイツ助けるとかマジ有り得ないし~。あれ?まさか圭ちゃん、こんな男がタイプな訳?」
「馬鹿。そんなんじゃないわよ。真っ昼間から死体なんて見たくないだけ。」

…そうか。チビの話を聞いて、俺は漸く状況が理解できつつあった。

組織には“時間を停止させる能力”を持つ人間がいるという噂を聞いたことがある。たった今、俺の命を助けてくれたこの女がその能力者なのか…。

「この男の無礼は私からもお詫び致します。どうです?今度また焼き肉でもご馳走致しますので矢口様、どうかお許しを。」
「ホント?仕方ないなぁ…。まぁいいや、今日のところは圭ちゃんと髭に免じて許してやるよ。オイラは心が広いからな、キャハハハハ!」

…焼き肉で機嫌が治るのかよ、単純な女だな…。まぁいいか、お陰で助かった
死の危機を脱し、漸く落ち着いた俺はチビに跪き、額を地面に擦り付けて謝罪した。屈辱だが仕方ない。それに、自分の意思をねじ曲げ頭を下げることにはもう慣れている。


「アンタも次からは気をつけなさい。」

その声に引き寄せられるように顔を上げると、目の前には闇色のスーツの女がいた。腰を折り、俺の肩に手を置き、優しく微笑んでいる。
あぁ、なんて慈悲深いお方なんだ。能力を使ってまで末端構成員の俺の命を救ってくれるなんて…。
顔はハッキリ言って俺の好みではないが、慈愛に満ち溢れたたあの大きな瞳に見つめられているだけで俺の冷え切った心を暖かい気持ちにさせてくれる。…あぁ、まさに聖母だ…。

「なんだ、もう喧嘩終わっちゃったのか。つまんねーなぁ。」

突然の聖母の降臨に感激し、目に涙を浮かべる俺の前に、また一人別の女が現れた。


すると聖母は俺のもとを離れ、現れた女の方へ近づいていった。
「折角丸く収まったのに、また余計なこと言うんじゃないわよ、吉澤。」
「よっすぃー久しぶり~!相変わらずカッコイいなぁ、キャハハハハ。」
このチビと同意見なのは癪に障るがこの女、確かに格好良い。スラリと伸びた長い足に端正な顔立ち。まさに“イケメン”という言葉がぴったりな女を見て俺は思った。…俺もこんな顔に生まれたかった…。

だが、やがて俺が羨望の眼差しを彼女に向けていることに気づいたイケメン女は、直後にとても不可解な行動に出た。


イケメン女は、俺の顔を物珍しそうな目で見据えると、俺のすぐ後ろにいた髭面の男にそっと近づいた。
…そしてその時、イケメン女が俺を横目で見ながら髭男の耳元で囁いた言葉を、俺の耳は聞き逃さなかった。

「もしかして…コイツが、お前が何時も話していた男か?」
「左様で御座います。吉澤様。」

イケメン女と髭男がその時交わした意味深な会話の内容。その後、含みのある笑みを浮かべた二人の表情。

今それを目の当たりにした俺は、急に背筋が寒くなり、今日二度目の震えを味わった。





















最終更新:2012年12月02日 09:56