マヨイバシドリ

 体長30cmほど。ユマリニ地方の一部に生息。
 くちばしが長く進化した鳥。これで落ち葉や朽木を器用に探り、ヘラクレスハチモドキオオカブトをはじめとしたさまざまな昆虫を食べる。非常に悪食の動物で、ネズミや人糞を食べたりすることもある。くちばしを揺らしながら森の中をさまよう姿が、たくさんのおかずを前にした貧乏な家の子どものようだったことから、発見した日本人探検家によってマヨイバシドリという名前がつけられた。
 積極的に餌を探すことができるくちばしの進化によって、取れる餌の量が増え、空を飛ぶ必要がなくなったため、胸の筋肉は弱くなり今では飛ぶことができない。しかし完全に地上生活をするまでには足の仕組みが整っていなく、大きな羽根を船の帆のように利用してバランスを取っている。
 ところでユマリニ地方には最近まで箸の文化はなかった(これまでは手掴みが主流であった)が、近ごろになって人々の間には箸が浸透してきた。ユマリニ地方のような大皿文化の地域では、文明化に伴う箸の発生はほぼ必然であるとも言えた。
 それと同時に箸の使い方についてのマナーも生まれた。さし箸、混ぜ箸、涙箸……そのほとんどは日本のそれと同じものである。その中でも特に無礼だとされるのが、迷い箸である。ユマリニ地方の人々が「マヨイバシドリ箸」と呼ぶこの箸の扱い方は、その名の通りマヨイバシドリを連想させ、マヨイバシドリの一大特徴である「ウンコでもなんでも喜んで喰う」を意味することになるので、料理人に対する最大級の冒瀆に当たるのである。
 ユマリニ地方に旅行した際には、ぜひ気をつけなければならないポイントである。


最終更新:2009年07月07日 15:52