体長3mほど。ナリーネ地方などに棲む。
キリンが高い所にある葉っぱを食べるためにどんどん首が伸ばしていったと言われる(本当かどうかは分からないが)のに対し、とにかく口を大きくしていったキリンの一種。よってキリンという言葉から一般的にイメージされる、そびえ立つような体躯は持っていない。体型としては、少しスマートなシマウマと言ったところか。しかしなにしろ口がでかい。アホのようにでかい。
そしてオオクチアホキリンは、寝るとき意外はほとんど常にその大きな口を広げ、そこに飛び込んできた虫を食べて生きている。草を食べることは一切なく、ほぼ虫の栄養だけで生きている。そのため胃袋に血のたっぷり詰まった
キュウケツカマキリなどは、オオクチアホキリンにとっては嬉しい存在である。もっともその血は自分のものだったりするわけだけれども。
もちろんそれだけでは、通常のキリンほど大きくないとは言え3mもある体を動かすには完全にエネルギー不足である。よってオオクチアホキリンは、哺乳類であるにも関わらずほとんど動かない。動かずに、口をあけ、飛び込んできた虫の栄養だけを取り込んで生きている。生きる姿勢として食虫植物とほとんど変わらない。生まれてから交尾して死ぬまで、半径5mほどの距離しか動かなかった個体の例もある。
オオクチアホキリンのこの生き方を、「哺乳類の面汚し」と見る人間と、「キリンの形をした仙人」と見る人間の2種類がいる。オオクチアホキリンという存在をどう捉えるかは、その人間の人生観を如実に表現していると言えるだろう。
そしてきれいな目をしている。