体長1mほど。ナリーネ地方に生息。
家畜だったニワトリが脱走し、野生化したもの。
卵を産み、肉を食われるだけの存在から解き放たれた彼らの生きるエネルギーはすさまじいものだった。
人間の目の届かない場所としてオウサマニワトリは森の中に生活を求め、その結果として肢が非常に発達した。生い茂る草木をものともせず踏みつける、たくましい肢。走るスピードは人間の全速力とそう変わらないとさえ言われる。
性格はきわめて凶暴。生きるためならばなんでも食べなければいけないからだ。オウサマニワトリにとって動いているものはすべてが餌。自分よりも何倍も大きい
オオクチアホキリンでも怯むことなく襲う(
オオクチアホキリンは動かないので意外と捕らえやすかったりするが)。
鳥の嘴(くちばし)はかつて爬虫類において歯であったものが進化したものだが、オウサマニワトリの嘴はさらにそのあとに歯として進化している。こうなるともはや進化なのか退化なのかよく分からない。
それにしてもニワトリの進化が羽根ではなく強靭な肢であったことは、なかなかの皮肉である。肢が進化したことによって、オウサマニワトリの羽根はむしろ小さくなった。狭い檻から逃げ出した先にあったのは、さえぎるもののない、どこまでも広がる大空ではなくて、繁茂する木々によって光さえ届かない、閉じられた空間であった。オウサマニワトリは今日もそこを踏み荒らして進む。