体長1mほど。ナリーネ地方に生息。
ナマケモノの一種だが、信じられないくらい働き者。
社会っていうのは怠け者がいる以上、働き者もいなければ成り立たない。みんなが怠け者では困る。
しかし悔しいのは、怠け者もなんだかんだで怠け者なりに生きていけるということだ。貧しいながらもけっこう生きていけてしまう。働き者はそれをちょっぴり切ない気持ちで見つめるのが常だ。そして忙しく仕事をこなしながら、(あいつよりも俺のほうが充実した人生を送っているはずだ)と信じ込もうとするのだが、怠け者のほうはその間にセックスに明け暮れ、子孫をたくさん作っていたりする。ことほどさように世の中というのは不条理なものだ。
ハタラキナマケモノの一日は早朝に始まる。起きてまずすることは、
オウサマニワトリの産んだ卵を巣から奪い取ることだ。ハタラキナマケモノの片方だけ発達した右腕は、
オウサマニワトリの卵をひょいっと掴み取るために存在する。しかしそれは決して容易なことではない。凶暴かつ注意深い
オウサマニワトリに気付かれずに卵を盗むことは至難の業である。
うまく卵を盗めなかった日は、仕方がないので果物などで食いつなぐことになる。とはいえナリーネ地方特有の聳え立つような巨木に成る果物を得ることも、決して簡単なことではない。果物を取ったときには、その果物以上のカロリーを消費していたりする。
ハタラキナマケモノは斯様に働き者だが、分類上はあくまでナマケモノの仲間である。どこまでも報われない。